第30回 銀行は会社のどの指標を見ているのか? パート2

 銀行は前回、紹介した指標以外に以下の指標も会社を見る目安にしています。

 会社の安定性において

  ● 借入金安全率 = 借入金合計 ÷ 自己資本 × 100

 借入金安全率は、会社の資本に対する借入金の割合を示すもので、自己資本のほうが多いに越したことがありませんから、この比率が低いほうが、安定性が高いと見なされます。

  ● 債務償還可能年数 = 借入金 ÷ (営業利益+減価償却費)

 債務償還可能年数は、会社が生み出す利益で現在の借入を何年間で返済できるかを測る指標です。3年以内であれば、かなり安定性において優秀であると見なされますが、10年以上になると安定性に疑問が出てくると思います。

 成長性は、売上高・付加価値・利益の過去4年間の推移で、増加しているか、減少しているかをチェックします。

 (売上高・付加価値・利益の)増加率=当期実績と前期実績の比較増加率あるいは減少率

 会社の売上高・付加価値・利益の傾向が上昇局面か下降局面かは、非常に大事な指標です。売上高・付加価値・利益が、過去4年間どれもが下がり続けていると、きわめて厳しい評価になってしまいます。特に利益の増加率が重要です。

 銀行はキャッシュフローも重視しています。キャッシュフローとは、資金の流れのことをいい、会社を出入りするお金の動きを表したものです。
 キャッシュフローには3種類あります。

 営業キャッシュフロー ・・・  本業で現金をいくら残したかを見ます。
 投資キャッシュフロー ・・・  設備投資・土地取得・株式投資等で生み出されるお金の出入りを見ます。
 財務キャッシュフロー ・・・  資金調達と返済などで発生するお金の出入りを見ます。

 営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合わせたものを、フリ−キャッシュフロー(会社からみて自由に使えるお金)といいます。

 フリーキャッシュフローがマイナスであれば、財務活動による資金調達が必要になります。フリーキャッシュフローに余裕があれば、資金不足が生じにくい状態といえます。

 銀行が特に重視するのは営業キャッシュフローの状態です。利益が上がっていても「売掛金の回収が長く、買掛金の支払いが早い」といった状態が続いては、会社全体の活動を維持するのが難しくなってきます。

 是非、「決算診断」によって自分の会社の正確な経営状態を把握して銀行にもきちんと説明ができるようにしていってください。





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