第29回 銀行は会社のどの指標を見ているのか? パート1

●健全性、収益性、安定性

 「決算診断」で活用している経営指標の中で、銀行はどの指標に着目をしているかというと(各銀行ごとに異なりますが)、重要度の高い主な経営指標は以下に掲げるとおりです。


1.健全性では自己資本比率と固定長期適合率

  健全性では自己資本比率と固定長期適合率をチェックしています。

  ● 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本 × 100

自己資本を総資本で割った自己資本比率は会社の資産全体に占める自前の資本力の強さを表す経営指標です。比率が高いと財務基盤が強く、低いと借金に依存していることを表しています。是非40%以上の数値を目指してください。


  ● 固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債) × 100

固定長期適合率とは、固定資産を自己資本+固定負債で割ったもので、設備投資を長期資金で賄っているかどうかを見る経営指標です。この数値が100%を超えると、短期資金も使って設備投資を賄っていることを表し、資金的に苦しい状態であるといえます。100%以下を目標にしてください。


2.収益性は、付加価値率と総資本経常利益率

 収益性ついては、付加価値率と総資本経常利益率を見ています。

  ● 付加価値率 = 付加価値 ÷ 売上高 × 100

付加価値率とはいわゆる粗利率です。付加価値(粗利)を売上高で割ったもので、会社の商品力やサービス力の原点になっています。さらに、付加価値率の推移や一人当たりの付加価値率などもきわめて重要な経営指標としてとらえています。


  ● 総資本経常利益率 = 経常利益 ÷ 総資本 × 100

総資本経常利益率は、ずばり中小企業の会社にとって効率性をみる経営指標です。会社の資産を一年間、効率的に活用して、中小企業の特性を活かして山椒は小粒でピリリと辛い会社かどうかを表しています。10%以上を目指してください。


3.安定性は経営安全率

 安定性は経営安全率を見ます。

  ● 経営安全率 = 売上高 − 損益分岐点売上 ÷ 売上高 × 100

これは売上高から損益分岐点売上高を差し引いて、その結果を売上高で割った数値で、不況に耐える力を見る経営指標です。要は、今の売上げからどれだけ下がったら損益がトントンになるかを示す経営指標です。できれば20%を目標に会社の経営体質を変えていってください。

 これらの経営指標を参考に銀行が自分の会社の健全性・収益性・安定性をどう見ているかを、決算書を分析して確認してください。





Produced By
「決算診断」プロス
株式会社プロス