第12回 [収益性の向上]を実現するための改善課題は!!

 今月からは、6要素から自社の経営改善をするための課題について、説明をしていきます。
まずは収益性です。


 「収益性」とは会社が成長・発展していくために必要な収益が獲得できたかどうかを見ているものです。また、会社の存続、さらなる飛躍が遂げられるよう十分な収益を上げることができるかどうかの判断材料になります。

 「収益性」を見るポイントは、以前解説欄で説明しましたが、

(1) 投下資本の利益貢献度はどうか  (=総資本経常利益率  で判定)
(2) 顧客満足度の価値はどうか  (=付加価値率  で判定)
(3) 本業の営業活動の利益率はどうか  (=売上高営業利益率  で判定)
(4) 経営活動の利益率はどうか  (=売上高経常利益率  で判定)
(5) 金利負担の効率性はどうか  (=売上高支払利息率  で判定)

です。これらの判定結果によって「収益性の向上」を実現していくための改善課題で考えられるのは以下の通りです。


業種別(卸売業、小売業、サービス業、製造業、建設業、運輸業、飲食業)の
「収益性の向上」実現のための改善課題の表示(例)

卸売業 小売業 サービス業
目標管理の実施
サービス力の向上
商品力の向上
営業力の向上
経費のムダの排除
商品管理の徹底
顧客管理の徹底
非価格競争力の強化
トップセールスの実施
仕入・購買の充実
 
目標管理の実施
サービス力の向上
商品力の向上
販売力の向上
経費管理の徹底
在庫管理の徹底
顧客管理の徹底
来店頻度の増加
トップセールスの推進
人材の活性化
 
売上増加策の検討
商品(サービス)力の向上
営業ノウハウの高度化
接客サービス力の向上
来店頻度の増加
トップセールスの推進
協力業者との関係強化
非価格競争力の向上
情報管理の徹底
顧客満足度の向上

製造業 建設業
目標管理体制の確立
売上(受注)の増大
生産技術力の向上
受注営業力の向上
経費管理の徹底
在庫管理の徹底
トップセールスの推進
協力業者との関係強化
資産の有効活用
人材の活性化

 
目標管理体制の確立
トップセールスの推進
利益管理の徹底
受注営業力の向上
実行予算管理の実践
協力業者との関係強化
ニーズ変化への対応
特命工事の受注強化
顧客満足度の向上
経費管理の徹底

運輸業 飲食業
目標管理体制の確立
受注営業力の向上
運行管理の徹底
品質・サービスの向上
安全管理の徹底
輸送技術力の向上
傭車管理の徹底
トップセールスの推進
資産の有効活用
特定荷主への専属強化
 
目標管理の実施
顧客サービスの強化
調理品質の向上
集客力の向上
経費管理の徹底
在庫管理の徹底
来店頻度の増加
資産の有効活用
トップセールスの推進
人材の活性化


 例えば、小売業の場合で、自社にとって収益性の判定からで、「来店頻度の増加」が課題であったとすると、以下のような検討項目が考えられます。


小売業「収益性向上」の改善課題(例)

課題テーマ 来店頻度の増加

課題のご提案
お客様の誕生月、季節のイベント、お客様に合致した商品の入荷などに合せて、DMやTELなどにより来店を促す。

施策の事例
(1) アフターサービス、会員登録等を理由とするアンケート調査でお客様の住所、電話番号等の収集をして活用することを検討する。
    (2) お客様の誕生月には割引サービスの特典をつけるなどして、DMでご案内することの定例化を検討する。


課題のご提案
割引券や会員カード等を発行するなどして顧客の目を常に当方にむけるようにして、来店回数頻度を増やすようにする。

施策の事例
(1) ポイント(スタンプ)カード等を作り、購入金額に応じてポイントを与え、来店3回程度で特典が使える仕組みを検討する。
    (2) 信販会社と提携し、自社の名前の入ったカードを発行、カード利用(又は提示)者に対して特典を与えることを検討する。


課題のご提案
季節感を折りこんだり、また、時代に合ったイベントを定期的に実施するなどして、顧客が来店したくなる演出・工夫を行なう。

施策の事例
(1) 年間のマーケティングカレンダーを作り、計画的に販促を行なうことを検討されては如何ですか。
    (2) 商店街やショッピングセンターのイベントには、「協力する姿勢」でなく、「積極活用の姿勢」で企画の検討をする。



 決算書を分析・診断することにより、自分の会社の経営課題が明らかにされます。
 是非、顧問の会計事務所にご相談してみてください。
 次回は、「生産性の向上」を実現するための改善課題について説明します。





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