第116回 買いたい仕組みを実現する「フエル・フエルの法則」!!

 ここ数十年で奇跡的な快進撃により成長を遂げた「セブン−イレブン」は、今年もまた「金の食パン」といったヒット商品を生んでいる。どのようにして、常に顧客を引き付けるパワーは生まれてくるのだろうか。

 「おいしい」の裏の意味を考え続けている習慣が根づいているからなのだろうか。(1)「金の食パン」は際立っておいしい。ただ、おいしいものにはもうひとつ裏の意味がある。それは「飽きる」ということです。おいしいものほど続けて食べれば飽きる。だから、飽きられる前により味をよくしたものを投入する。顧客は味が変わったことに気づかないかもしれません。飽きずにおいしいと感じてもらえればいいのです。

 常に顧客心理を読んで一歩先の手を打つことが、顧客のロイヤルティを高め、数字に反映されるのです。主力セブン−イレブンの全店平均日販は約67万円と他の大手チェーンを12万円以上を上回っている。どうすれば顧客から継続して支持を得られるのだろうか。鈴木流の「売り続ける発想法」を、一般の凡人が陥りがちな発想法と比較しながら見てみよう。

 (2)モノ余りの時代には、安さより、質を求める顧客が増えていることを見抜いていたのです。つまりは「いいものを売る」

 結果はどうでしょうか。セブンプレミアムは、2012年度では総品目数1700品目、年間総売上高は4900億円で1品目あたりの売上高は単純計算で約3億円と、同業他社のPBと3倍近い開きがあります。単品で年間売上高が10億円を超える商品も92品目にのぼり、PBでは類を見ない売行きです。

 ワンランク上のセブンゴールドも、金の食パンなどヒット商品を生んでいます。

 来年4月には消費税が8%引き上げが予定され、そのため消費が落ち込むことが予想されます。それをカバーするには消費税が上がった分を値段を安くする発想に傾きがちです。しかし、本当は逆で、財布のひもを緩めるには、より上質な商品を提供するという発想に切り替えるべきなのです。

 (3)売り手はとかく、競争相手に負けない商品をつくるという発想をしがちですが、顧客にとっては何の意味もありません。「ライバルはいない」のです。

 例えば、自社と他者を比較して、「自分たちの商品が90点、他者は80点だから自社のほうが勝っている」と思っても、それは売り手の勝手な思い込みであって、顧客からの評価は大差なく、どちらも70点かもしれません。

 自己評価が高くても、顧客の満足を得られなければ、単なる自己満足でしかありません。逆に自分たちは負けていると思って、その差を埋めることに汲々として、ものまねに陥りがちです。そうすると顧客は離れていきます。

 セブンーイレブンが目指したのは「どこにもない商品をつくる」ということでした。そのために、「金の食パン」では、大量生産にもかかわらず手間のかかる常識はずれの工程まで取り入れました。顧客に本当に満足してもらおうと思ったら、競争相手に勝つのではなく。既存の常識を打ち破らなければなりません。なぜなら、真の競争相手は同業他社ではなく、絶えず変化する顧客ニーズだからです。

 そのために、一年の経営活動の結果である決算を振り返り、顧客ニーズに合ったことをしてきたかを反省し改善することは必要なのです。

 決算時には、一年間の経営の結果が出てきます。この結果は誰にも変えることの出来ない過去の数字です。その結果を過ぎたことだからと見過ごさず、問題点が何かを発見するための貴重な資源と考えなければなりません。問題のない会社はありません。その問題の本質を見抜いて発見し、問題を克服するための具体的対策をどう講じるかが企業の成長に大きく影響してくるのです。


 決算診断の詳細についてはこちらをご覧ください
  → 経営に必要な様々な情報・サービスを提供「決算診断実践会」



Produced By
「決算診断」プロス
株式会社プロス