第110回 中小企業は自立経営を目指す!!

 今年に入り、中小企業をめぐる環境が政権交代によって大きく変わろうとしているように感じます。「中小企業金融円滑化法」もこの3月に終了し、極端な言い方かもしれませんが、後ろ向きの対策である貸し付け条件の変更(返済猶予)への対応から、昨年8月に施行された「中小企業経営力強化支援法」にあるように、中小企業の経営者は自力で自社の経営をしっかりと歩んでいく時代になったのです。

 国は「依存体質の弱い企業を助ける」方針から「自助努力によって自立を目指す頑張る企業を応援する」方針に変わったといってもいいかもしれません。

 国の中小企業政策は自立経営を目指す中小企業の経営者に必要なものして「戦略的経営力」を強化することが大切と考え、そのための方策として「財務経営力」や「資金調達力」等を掲げています。とりわけ中小企業の経営者が経営サイクルであるPlan→Do→Check→Actionを回していけるために数字(会計)に明るくなる「財務経営力」の強化を図ろうとしています。ただ、中小企業の経営者が自らこのことを実現するには困難を伴うので、この財務経営力をつけてもらうために経営革新認定支援機関を設立したのです。

 認定支援機関は中小企業庁のホームページを参照いただければどの地域にどのような認定機関があるかは確認できます。

 経営革新等支援認定機関のミッション(使命)を以下に紹介します。

1) 企業に密着した、言わばホームドクター的役割
中小企業の抱える多様な経営課題の解決には、まず、現状を把握することから始まり、そこから明らかになった中小企業の経営課題を相談して、対策を立てることが重要です。
きめ細かな経営相談を通じて、財務状況、事業分野ごとの将来性、キャッ シュフロー見通し、国外内の市場動向等の経営資源の内容、財務内容その他 経営の状況に関する調査・分析からスタートします。

2) 認定支援機関が強みを有する専門性の高い支援
経営革新等支援機関は税務、金融及び企業の財務に関する知識や経験を有した、中小企業支援者です。
企業に密着した、きめ細かな経営相談を通じ、経営状況の分析から、経営改善計画等の策定・実行支援を着実に図り、さらには中小企業の成長力を促すといった、経営革新等機関が強みを有する専門性の高い支援を行うことが重要です。

3) 継続的なモニタリングとフォローアップ
支援業務を実施した中小企業に対する案件の進捗状況の管理、継続的なモニタンリングの実施、フォローアップを行うといった「コンサルティング機能」を発揮して、中小企業の経営支援の充実を行うことが必要です。

4) 更なる支援体制強化のための連携体制の構築
地域全体における中小企業に対する支援機能の質を更に高めるため、経営革新等支援機関同士のネットワーク、外部機関との連携体制を構築することによって、支援体制の強化を図ることが重要です。
また、支援策を日本全国の中小企業に浸透されるとともに、支援策のユーザーの視点に立って、中小企業者の支援策に対する意見を集約するという役割も求められます。

5) 新会計制度の普及
「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」 に拠った信頼性のある計算書類等の作成及び活用の推奨することは、経営力の強化、資金調達力の強化に繋がります。また適時に経営状況を中小企業者が把握することにより、経営者自身が明確なビジョンや経営戦略を主体的に取り組むことも期待されます。

 以上が、国の政策の一環として設けた認定機関のミッション(使命)です。是非、自立を目指す中小企業の経営者は地元の認定機関に相談をしてみてください。

 認定支援機関は国の認定により各地域で増えてきていますが、実際に企業の経営状況を決算書から分析し、経営計画等の策定を経営者の視点で共に進められる自社のための認定新機関を見つけることが、これから求められていきます。

 ただ単に数値の分析結果だけを提示されても、経営者自身がその結果から自社をどのように変えていくかを判断できる材料として提示してもらわなければ、具体的にその先に進んでいけません。一部の認定支援機関では、会社の決算書から経営者にわかりやすく「決算診断」として経営の現場を把握できるよう工夫しており、現場の課題を明確にした上で改善の事業計画を策定できるという対応をしています。そのような認定支援機関がお近くにあれば、企業経営の真のパートナーとして共に歩んでいけるのではないでしょうか。


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