ビジネスは数字との「戦い」といえます。 売上はどうか? 利益はどうか? コストはどうか? 資金はどうか? これらの数字のバランスが崩れると、仕入先の支払いが出来なくなったり、社員の給料が遅れたり、借金を支払うことさえ困難になり経営は成り立たなくなってしまいます。 「数字をいくらいじっても売上は上がらない」という経営者がいるとしたらそれは大きな間違いです。 会社を取り巻く環境も、会社の中の一連の活動も、経営においてはすべて数字で表現されます。 それを無視して「どんぶり勘定と度胸と勘」で経営する。 これを「2DK経営」といわれますが、2DK経営ではこの厳しい経営環境の中では生き残ることはできません。 経営者は、経営において確かにモノを動かし、ヒトを動かしますが、最も大事な仕事・役割は、モノやヒト、時間の意味をあらわす数字を的確につかみそれに基づいて意思決定をくだしていくことだ、ということです。 数字に強くなれば、おのずと物事を大局的につかめるようになってきます。 身近な例でいいますと、たとえばラーメンを食べにお店に行ったとします。 ラーメンを注文して出てくる間に、その店のラーメンの単価はどうか?人気のメニューは何なのか?30分の間に何人くらいのお客が回転しているのか? 店の広さは何坪くらいで、店員の人数は何人なのか?等々、を見ていくと店の経営状態が見えてきます。 このように、いろいろな物事を数字で見ていくようにすれば、大局観が養われるだけでなく、経営に対する直感も培われてきます。 ですから、「数字に強い経営者は経営に強い」のです。 数字の持つ意味と背景を読み取ることは非常に大事なことです。経営者にとって売上が上がることは良いことです。しかし売上が上がっても、その上げ幅以上に人件費をはじめとする固定費が上がっており、仮に外注先の管理を怠ったために変動費が上がっているとしたら、利益を出すことはできません。 常に数字で物事を見る習慣がついていれば、「売上は上がったが、今の経営環境を考えれば、何か打つ手を考えないとこの先大変なことになるな!」ということが直感的につかめるようになります。 表面的な数字だけでなく、その数字の意味やバックグランドが見えてきます。 「コストはこれでいいのか?」 「この商品を安売りすべきなのか?」 「売掛金の回収がこれ以上延びるとどうなるのか?」等々、これらのことは数字をつかんで検討をしていかないとわかりません。数字を把握しない経営は、ただの「ヤマ勘経営」です。 ヤマ勘経営では、売上がなかなか上がらず、赤字経営の会社がほとんどの時代に、生き残っていけるわけがありません。 数字に強くなることで大局観を持ち、直感を働かせた経営を行うことが、生き残り、成長させていく道なのです。
|