中小企業の会計に関する指針
 目的(1−3) [メニューへ] [次 へ]

【総 論】

目 的


 要 点
株式会社は、会社法により、計算書類の作成が義務付けられている。
中小企業の会計に関する指針(以下「本指針」という。)は、中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものである。
このため、中小企業は、本指針に拠り計算書類を作成することが推奨される。とりわけ、会計参与設置会社が計算書類を作成する際には、本指針に拠ることが適当である。
このような目的に照らし、本指針は、一定の水準を保ったものとする。


1.中小企業の会計−計算書類の作成義務

 株式会社及び持分会社の会計の原則は、会社法第431条及び第614条において一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとするとされているとともに、会社計算規則の定めるところにより、適時に正確な会計帳簿の作成と計算書類(株式会社にあっては、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表)の作成が義務付けられている。この一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行のひとつとして、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「会計基準」という。)がある。会計基準においては、中小企業の特性を考慮した簡便的な方法が設けられている場合もあり、また、会計実務では、具体的な規定が会計基準において定められていないような場合など、一定の状況下では、法人税法で定める処理が参照されている。


2.本指針作成の経緯

 旧商法では、計算書類の作成に関して、総則の商業帳簿の規定と、株式会社の計算の規定に定められているほかは、第32条第2項において「公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」とされていたものの、中小企業が適用することができる「公正ナル会計慣行」とは何かが十分には明確になっていないと指摘されていた。そこで、中小企業が、資金調達先の多様化や取引先の拡大等も見据えて、会計の質の向上を図る取組みを促進するため、平成14年6月に中小企業庁が、「中小企業の会計に関する研究 会報告書」を発表した。また、これに呼応して、平成14年12月に日本税理士会連合会が「中小会社会計基準」を、平成15年6月に日本公認会計士協会が「中小会社の会計のあり方に関する研究報告」をそれぞれまとめ、その普及を図ってきた。本指針は、これら3つの報告を統合するものとして、平成17年8月に公表されたものである。
 その後、平成18年4月に、会社法、会社法施行規則及び会社計算規則の制定に伴い本指針の見直しを行った。
 平成25年2月に、「非上場会社の会計基準に関する懇談会報告書(平成22年8月30日)」及び「中小企業の会計に関する研究会中間報告書(平成22年9月30日)」の提言内容を踏まえて、一定の水準を引き続き確保しつつ、平易な表現に改める等により、利用しやすいものとするための改正を行った。
 

3.本指針の目的

 本指針は、中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものである。このため、中小企業は、本指針に拠り計算書類を作成することが推奨される。
 また、会社法において、取締役と共同して計算書類の作成を行う「会計参与制度」が導入された。本指針は、とりわけ会計参与が取締役と共同して計算書類を作成するに当たって拠ることが適当な会計のあり方を示すものである。このような目的に照らし、本指針は、一定の水準を保ったものとする。
 もっとも、会計参与を設置した会社が、本指針に拠らずに、会計基準に基づき計算書類を作成することを妨げるものではない。


 目的(1−3) [メニューへ] [次 へ]