中小企業の会計に関する指針
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 収益・費用の計上


 要 点
収益については、収入(将来入金するものを含む。)に基づいた金額で商品等の販売や役務の給付を行った時に計上する。
費用については、その支出(将来支出するものを含む。)に基づいた金額を、その性質により、収益に対応させ、その発生した期間に計上する。
工事契約については、工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する。


72.収益及び費用の計上に関する一般原則

 企業の経営成績を明らかにするため、損益計算書において一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用を計上する(費用収益の対応原則)。原則として、収益については実現主義により認識し、費用については発生主義により認識する。
 収益及び費用の計上について複数の会計処理の適用が考えられる場合、取引の実態を最も適切に表す方法を選択する。選択した方法は、毎期、継続して適用し、正当な理由がない限り、変更してはならない。


73.収益認識

 収益は、収入(将来入金するものを含む。)に基づいた金額で商品等の販売や役務の給付を行った時に計上され、企業は、各取引の実態に応じて、販売の事実を認識する時点を選択しなければならない。商品等の販売や役務の給付に基づく収益認識基準には、出荷基準、引渡基準、検収基準等がある。

(1)  一般的な販売契約における収益認識基準
区 分 収益認識日
出荷基準 製品、商品等を出荷した時点
引渡基準 製品、商品等を得意先に引き渡した時点
検収基準 得意先が製品等の検収をした時点

 上記のほか、輸出を伴う場合には、船積基準、通関基準等がある。

(2)  特殊な販売契約における収益認識基準
区 分 収益認識日等
委託販売 受託者が委託品を販売した日(仕切精算書又は売上計算書に記録)。ただし、販売のつど送付されている場合には、当該仕切精算書が到達した日をもって売上収益の実現の日とみなすことができる。
試用販売 得意先が買取りの意思を表示したとき。
予約販売 予約金受取額のうち、事業年度の末日までに商品の引渡し又は役務の給付が完了した分。残額は貸借対照表の負債の部に記載して次期以後に繰り延べる。
割賦販売 原則として、商品等を引き渡した日。ただし、割賦金の回収期限の到来の日又は割賦金の入金の日とすることができる。

(3)  工事契約
区 分 収益認識方法
工事契約
(受注制作の
ソフトウェア
を含む。)
工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する。
成果の確実性が認められるためには、次の各要素について、信頼性をもって見積ることができなければならない。
(1)工事収益総額13
(2)工事原価総額14
(3)決算日における工事進捗度15

  13  信頼性をもって工事収益総額を見積もるためには、工事の完成見込みが確実であり、また当該工事についての対価の定めがあることが必要である。
  14  信頼性をもって工事原価の事前の見積りと実績を対比することにより、適時・適切な工事原価総額の見積りの見直しが必要である。
  15  原価比例法(決算日までに実施した工事に関して発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって決算日における工事進捗度とする方法)を採用する場合、信頼性をもって工事収益総額及び工事原価総額を見積ることができれば、通常、決算日における工事進捗度も信頼性をもって見積ることができる。


74.費用認識

 費用は、その支出(将来支出するものを含む。)に基づいた金額を、その性質により、収益に対応(個別対応又は期間対応)させ、その発生した期間に正しく計上する。具体的には、本指針の関連項目を参照する。


【関連項目】
企業会計原則 第二・一及び三、第三・五及び同注解6
工事契約に関する会計基準(企業会計基準第15号)
法人税法第64条


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