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企業が学生に接触する新方式で、リクルート最前線に旋風

(17/03/23)

 就活シーズン真っ盛り。来春卒業予定の学生と企業の人事担当者がベストマッチを求め慌ただしい毎日を送っている。ベストマッチに欠かせないのがネットやウェブの各種ツールだが、ひと味番う就活ツールとして人気を集めているのが、ニューインデックス(東京、津田武社長)が運営する「ガクセン」サイトだ。同サイトは、学生が企業を探してアプローチする通常のパターンとは逆の「企業から、これは、という学生を探し出し接触する」方式を採用。津田社長は「行動力や地頭(じあたま)力に優れた学生を厳選して集めており、特に中小企業がこれまで出会えなかった層の学生に出会える突破口になる」と胸を張る。

 同社は大手システム開発会社の営業職を4年ほど務めた津田社長が2008年に創業した。津田社長は自身が中学生の時、自衛隊からケーキ職人を経てコンピュータ関連の販売会社を興した父親が「会社を作るのが一番楽しい」とぼそっと言ったのをずっと覚えていて、「いつか起業したいとの思いがあった」と振り返る。また、大学時代にネットにはまり、身につけた知識を生かしたウェブ制作で実績を収めた成功体験も同社誕生の一因となった。

 創業当初のニューインデックスは、ウェブ制作などを受託する一方で、携帯電話向けサイトの開設を手助けする「モバイルデザインアーカイブ」を立ち上げて好評を博した。現在の主力事業となる「ガクセン」は2011年にサービスを開始した。学生→企業とは逆方向の企業→学生の働きかけを促すガクセンのアイデアは友人との酒席で浮かんだ。「企業の採用担当になった学生時代の友人と飲んでいた時、新卒採用で面白いウェブサイトを作れないかと聞かれて、5分ぐらいで出てきたのがガクセンの原型」(津田社長)というわけだ。

 ガクセンは学生選抜の略。学歴もさることながら、行動力やコミュニケーション能力の高い学生を選び抜きサイトに集めることで、企業サイドは求人活動の費用対効果を高められ、学生は企業との出会いのチャンスが広がる、と双方にメリットをもたらす。自己成長志向型、トラウマ克服型などの学生を募ったところ、「類は友を呼ぶ」で、そうしたタイプの学生が集まる仕組みが出来上がったという。これら学生の人となりが良く分かるインタビュー記事や動画情報を会員企業に提供し、相思相愛のベストマッチを図るシステムを確立した。

 ガクセンに集まる学生は、企業規模にこだわらない向きが少なくないようで、中小企業に入社して活躍する事例も数多く出てきている。津田社長は「2020年から先、不況に陥ったとしても、優秀な人材を採用することが企業の最重要テーマであるのは変わらない。今後も学生の質、量を高め、サービスを拡充していく」といい「海外の学生を対象とするガクセングローバルにも力を入れる」とビジョンの一端を披露する。古くて新しい求人求職の最前線に、旋風が次々と巻き起こりそうだ。

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