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AIとスマホで医食同源ヘルスケアの新サービスを提供

(16/12/22)

 メタボ、糖尿、生活習慣病…。年を重ねるにつれ、心配の度合いが高まるこれらの症状は、多くの場合、「飲食」が一番の要因となっている。食事指導、食事治療の大切さが叫ばれるゆえんである。ハカルス(HACARUS、京都市、藤原健真社長)は、その指導・治療をAI(人工知能)とスマートフォンの組み合わせにより行うベンチャー企業。大学のAI研究者の知見をフルに活用し、医食同源ヘルスケアの新サービスを確立する。

 同社は2014年1月に藤原社長が立ち上げた。当初はソフトウエアの受託開発を主な業務としたが、昨年暮れに組織を見直し、今年6月、ヘルスケアサービスを開始した。社名と同じ「ハカルス」と名付けた同サービスは、スマートフォンのアプリ上で展開。ユーザーが食べた食材の重量などを入力すると、その情報を吟味した管理栄養士から「緑が不足しているので野菜を多めに…」「バランスのとれた朝食ですが、フルーツを加えるとさらにいい」といったアドバイスが寄せられる仕組み。

 類似サービスにはないハカルスならではの売り物となるのがAIの利活用だ。AIと言えばビッグデータとセットになるケースが多いが、同社のそれは「スモールデータで動くAI」(藤原社長)とユニークさに富む。同社のチーフ科学アドバイザーを務める大関真之東北大学准教授が研究開発を進めている「スパース(まばら、スカスカの意味)モデリング」がスモールデータAIの基盤となる。少ない情報から全体像を的確にあぶり出す同モデリングにより「食材などを入力する手間が省け、極端な場合、全体の5分の1を入れるだけで100%の情報が得られる」(同)。

 同社では主な顧客を、フィットネスクラブ、生命保険各社、それに健康経営の観点から福利厚生に力を入れる民間企業と設定。藤原社長は「BtoC(対個人)は込み合っているので、企業などを介するBtoBtoCのモデルを主軸にする」と戦略を明かす。国内市場の開拓と併せて、海外市場も掘り起こす。来年には英語版のアプリをリリースする計画で、“肥満大国”米国をはじめ、アジア英語圏のシンガポールや香港での事業化を進めていく。

 「30歳を超え、お腹ポッコリのオジサン体型になってしまい、炭水化物ダイエット、それも夕食だけ炭水化物を抜いたら1カ月で5キロ減った」という藤原社長の実体験がハカルス誕生の原点となる。藤原社長は大手電機会社系ゲーム会社でゲーム機開発に取り組んだのち、IT関連など数社のベンチャー企業を創業したキャリアの持ち主。スリムな体に溢れるベンチャースピリッツを秘めて、ヘルスケアビジネス最前線を駆け巡る。

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