e中小企業コラム
「e中小企業コラム」一覧へ

ファブラボ本格運用で、新時代のモノづくり目指す

(16/06/02)
 「モノづくりを変えた」とまで評される3Dプリンターの進化や低価格化が進み、普及に一段と拍車がかかっている。それに伴い、3Dプリンターや3Dスキャナー、カッティングマシンなどを揃えた「ファブラボ」が街中に次々と開設されてもいる。シーク(横浜市、征矢(そや)直人社長)が昨年7月に横浜市内にオープンしたシークラボラトリーもその一つ。3D−CADの活用によるワンストップ3Dソリューションが売り物の同社は、シークラボの取り組みを通して、モノづくりの新たなビジネスモデルを確立しようとしている。
 征矢社長は試作メーカー、設計会社で3D−CADによる筺体意匠モデリングや自動車・モバイル端末・ロボットの設計業務に携わり、そのキャリアを拠り所に10数年前に独立した。独立後、個人事業、法人成り、株式会社化のステップを経て、平成18年に今日のシークを設立する。業務内容は3Dデータ作成や意匠データ制作、筺体・機構・梱包の設計、設計技術者向けのCADトレーニングから、コンサルティング、技術者派遣まで幅広い。ワンストップの3Dソリューションを標榜するゆえんである。
 昨夏のシークラボ開設は「3Dに関する需要や世間の関心度を知るのが目的の一つ。また、業務の性格上、技術やノウハウをなかなか外には語れないもどかしさのようなものが社員に感じられ、その解消につながるとも考えた」(征矢社長)。目下のところ、シークラボは土曜・日曜のみスペースを開放するテスト的な運用にとどまっているが、「メディアや横浜市の取材を受けたりする中で、ラボの在り方や魅力の方向性、可能性がつかめた」(同)として、今夏をめどに、週6日稼働(火曜定休)の本格運用に乗り出す意向だ。
 シークラボの本格運用に際し、同社では施設のソフトウエア、ハードウエアをさらに充実させて、クリエイター、個人事業主はもとより、一般サラリーマンも対象に会員獲得に拍車をかけていく。併せて、クラウドソーシング(インターネット活用による不特定多数への業務受発注)のサイトを立ち上げ、リアルスペース(シ−クラボ)とバーチャル(ネット上)の融合による“新時代のモノづくり”の確立も目指す。
 征矢社長は「クラウドソーシングやクラウドファンディング(インターネット活用による不特定多数からの資金調達)をからめて、チームワークでモノづくりを推進できるコミュニティができないものかと前々から考えていた。シークラボがその場となってくれれば…」と期待を込める。「2号店はニューヨーク。モノづくりへの関心が高いところにラボを開いていく」とのビジョンも明かす。3Dの専門家集団が、時代の追い風を受け、どこまで高く飛翔するか…。
〔当サイトのコンテンツは中小企業庁・中小企業基盤整備機構の許可を得て掲載しています。〕
Copyright(c) Organization for Small and Medium Enterprises and Regional Innovation, Japan All rights reserved.
Copyright 著作権マーク SEIKO EPSON CORPORATION , All rights reserved.