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注目のドローンで新技術、ものづくりの力発揮

(16/05/26)
 無人で低空飛行し、注目を集めている小型無人機「ドローン」。老朽化が問題となっているトンネルや橋梁などのインフラ設備の検査向けや、物流・輸送などの用途が見込まれている。昨年末には改正航空法も施行され、飛行のための法整備がなされ、市場拡大に期待がかかっている。平成28年熊本地震でも生々しい被災状況を撮影し、改めてその利用方法に気付かされた。
 そのドローンで、新しい方式による試作品をつくったのが、インダストリーネットワーク(長野県岡谷市)だ。新しい技術とは、ガソリンエンジン駆動。これまでのドローンはモーター駆動。バッテリーで充電しながら飛ぶが、その容量から「20分程度しか飛べない」(大橋俊夫代表取締役)。しかも、大橋氏によると、「これらの部品は汎用化しているから、誰でもつくれる」。現に、アジア製などの低価格品が販売されており、ドローン開発のベンチャー熱も「日本では下火になっている」という。
 モーターに代わるエンジン駆動であれば、「1時間でも2時間でも飛べる」(大橋氏)ため、新たな需要も拡大できる。すでに試験飛行も行っている。ただ、この新技術を使ったドローンの量産については「設備投資が必要となるほか、需要の波などもあるだろうから、考えていない。当社の技術に興味を持ってもらえるところがあれば、ライセンス供与を考える」としている。
 同社の本業はIT(情報技術)関連のシステム開発。なぜドローン開発に携わるかというと、「誰もやらないことをやりたい」(大橋氏)からだ。現に、これまでも壁面を走行したり、登ったりするロボットも開発している。さらに、同社が事務局となり、長野・諏訪地域の精密加工メーカーなど10社による企業ネットワーク「試作.biz」も組織化。大学や研究機関も巻き込んで、航空宇宙、ロボットから、メカトロニクス、医療・介護などさまざまな分野の設計、試作、製造などを請け負っている。
 諏訪といえば、古くから時計やカメラ、最近では電子デバイスの精密機械産業が集結する地域。日本のものづくり復権のため、大橋氏は信州から新たな挑戦を続ける。
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