e中小企業コラム
「e中小企業コラム」一覧へ

アマチュアスポーツの上達をITで支援

(16/04/21)

 スポーツをする人なら、どんな競技であっても、誰もが、強くなりたい、上手になりたいといった思いを多かれ少なかれ抱いている。そんな彼ら彼女らに応えるのが、SPLYZA(スプライザ、浜松市、土井寛之社長)が提供するスポーツ上達システムだ。スマートフォンやタブレット端末でプレーの“残像動画”をチェックできるようにしたり、コーチの指導内容をチーム内で共有できるようにしたりすることで、スポーツの効果的、効率的な練習を支援する。ウインドサーファーである土井社長が、自らのスポーツ体験を踏まえて立ち上げた事業が、風をつかんで疾走し始めた。

 同社は平成23年に発足。それまで、システム開発会社に勤めていた土井社長は「いつか起業を」と思っていた。何をやるか。一緒に起業を目指した仲間たちと100以上の事業テーマを検討した結果、アマチュアスポーツ×ITの分野に狙いを定めた。創業メンバーの4人全員がウインドサーフィン、バスケットボール、ゴルフ、スノーボード…に熱中しているスポーツマンで、高いITスキルを備えている。そうした共通点を持ち、また、同分野がブルーオーシャン(競争のない未開拓市場)と見て取れたことからの決断である。

 平成26年、“残像”を自動で生成し、フォームやスイングの連続写真を手軽に撮影、再生できるスマホ向け動画撮影アプリ「クリプストロ」を発売した。目新しさが受け、世界20カ国以上でカメラ/スポーツアプリ部門のダウンロード数が第1位になるなど、高い評価を得た。続いて、「クリプストロ」の画像の上に、監督・コーチが指導のエッセンスを補助線やコメントで示し、それをチーム内で共有できるようにするクローズドSNSアプリ「スポック」を開発。現在、ベータ版を提供中で、近く製品版を世に出す。

 「スポック」について、同社では、学校の部活での需要に期待を寄せる。文科省が打ち出したスポーツGDP拡大構想や、「2020年までに生徒に一人一台タブレット端末」といったビジョンが追い風になると捉え、「私立の学校から需要を掘り起こしていく。教育やスポーツに関わる事業者と連携し、モデルケースとなる導入事例を増やしたい」(土井社長)。ユーザーの裾野を広げるために、利用料金は1チームにつき月額5000円程度と安価に抑えて、立ち上げから数年で累積ユーザー数、1万チームの大台乗せを目指している。

 土井社長は「スポーツ以外に、例えば、リハビリなどでも使える」と自社製品の“守備範囲”の広さも強調する。各種スポーツの技能向上と、リハビリによる機能回復のプロセスは相通じるということか。事業目的に『私たちの仲間と顧客の人生をワクワクさせる』を掲げて、『どんな些細なことでもワクワクするかどうかを考え、ワクワクする方を選択する』という同社の“ワクワク大作戦”が、間もなく佳境、正念場に差し掛かる。

〔当サイトのコンテンツは中小企業庁・中小企業基盤整備機構の許可を得て掲載しています。〕
Copyright(c) Organization for Small and Medium Enterprises and Regional Innovation, Japan All rights reserved.
Copyright 著作権マーク SEIKO EPSON CORPORATION , All rights reserved.