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スマホの“ビジネスツール化”で躍進
(16/03/24)

 スマートフォン(スマホ)の普及を一番、実感できるのは通勤電車の中だろう。少ない時でも半数近くが、多い時には8、9割の乗客がスマホを操作し、画面を見つめている。それだけ広まったスマホの“ビジネスツール化”を主力事業に据えて、目下、躍進中なのがアスタリスク(大阪市、鈴木規之社長)だ。スマホを母体にしたハンディターミナルなどを次々に商品化。鈴木社長は「業務改革に熱心な企業ほど導入してくれる」と手応えを語り、新規ユーザーの掘り起こしに自信をのぞかせる。

 同社は平成18年に発足した。大手化学・繊維メーカーのシステム部門に勤めていた鈴木社長が、「システムの世界で、世界を変えたい」「世界に通用するIT会社を目指したい」といった思いのもと、独立、創業した。当初は、ITに関わるさまざまな業務を手がけたが、平成20年のiPhone登場が、同社のその後を方向付ける。「これからは、こういった製品でビジネスするようになるだろうと直感的に思った」(同)のを契機に、iPhone関連事業へと大きく舵を切る。

 その第1弾として開発したのが、スマホベースの店舗向けPOS(販売時点情報管理)システム。専用POSと比べ、手軽さ、安さをはじめ、多くの優位点があったため、大手企業相手のコンペに勝つなど、上々の成果を収める。当初はソフトウエアだけ開発したが、そのうちハードウエアも手掛けるようになり、iPhoneなどに装着して使うケース型バーコードリーダー/RF−IDリーダーライターを作製。それらの実績を積み重ね「ハードとソフトの両輪があるのが強み」(同)と自負する開発型ベンチャーが出来上がる。

 自動車メーカー向け車体管理システム、DIYショップ向け発注・在庫管理/接客業務支援システム、物流業者向け倉庫管理/荷物追跡支援システム、病院向け看護業務支援/電子カルテ連携システム…。多種多様なジャンルで同社製品が活用されている。いずれもバーコードやRF−IDタグの読み込みが基本機能となるが、鈴木社長は「バーコードはたたき合いが激しいレッドオーシャン。一方、市場はまだ小さいが、競合が少なく成長が見込めるブルーオーシャンがRF−ID」ととらえて、RF−IDの伸びに期待を寄せる。

 母体がiPhoneという“世界標準”の同社製品は、海外での導入実績も増えてきた。海外展開を加速すべく、米、英、中国に子会社や代理店を設置した。鈴木社長は「売り上げの半分を海外が占める日も近い。将来的には国内の3、4倍に膨らむのでは」と世界を見据えている。IT革命の“主役”が、パソコンからインターネットそしてスマホへと移った今、同社創業時の「世界を変えたい」との思いが少しずつ現実化しつつある。

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