少子高齢化から、今では3人に1人が60歳以上。しかも、この先、高齢化比率は確実に高まっていく。こうした日本の人口動態を仔細に分析して、確固たる商品・販売戦略のもとに、事業を拡大発展中なのが化粧品製造販売のシャルーヌ化粧品(東京、榎本和明社長)だ。同社のターゲットは「プレミア世代」と名付けた60代を中核とする中高年女性。「長生き女性は長期の優良顧客」(榎本社長)と、高齢者の人口増を“強い味方”に、倍々ペースの売り上げ増を予想して、数年先の株式公開を計画している。 同社は平成19(2007)年に設立。設立時は一株主の立場だった榎本氏はその後、実質的オーナーとなり、平成26(2014)年、社長に就く。榎本氏は1990年代初めに脱サラし、健康食品会社を起業。健康食品と併せて化粧品も取り扱い、数々の経験を積み重ねる。その後、分社化、事業統合などを経て、およそ20年の経験とノウハウを活かせる化粧品通販事業を新たに立ち上げ、目下、同事業を急加速させているところだ。 「中高年の女性に照準を合わせ、40代半ばより上の世代の3500万人を潜在顧客とみている」(同)。その中でも、各年代を比較して、最も人口が多い60代女性をプレミア世代と捉え、重点的にアプローチしている。60代への訴求策としては、新聞広告を多用している。「ウェブ広告は、ネットに慣れ親しむ世代が上がってくる4、5年先から」(同)と判断。こうしたち密なマーケティングの一方で、商品戦略の面でも、市場や消費の動向をきめ細かく分析し、ニーズ、ウオンツに応える商品づくりに腐心している。 そんな同社が今、力を入れているのが、「美顔器」および「オールインワン」だ。美顔器は、競合品と比べ格安価格で提供。「コーヒーメーカーを普及させて、インスタントコーヒーを拡販したアイデアを参考にした」(同)という美顔器+専用化粧品のコラボ戦略となるものだ。一方のオールインワンは、化粧水や乳液、美容液、クリームといった機能を一つにまとめた化粧品のことで、同商品カテゴリーの成長性や競合各社の状況から、勝算ありと見極めて、今年1月に新製品を発売し、同分野に参入した。 「初めての化粧品は、肌に合うか心配。化粧品を変えるのは抵抗感がある」−同社では、そんな化粧品ユーザーの不安や戸惑いを踏まえて、購入から30日以内なら全額を返す返金保証制度を導入するなどで、初期購入のハードルを下げる作戦をとっている。特許技術に基づく「ナノミスト」をはじめ、品質の面でいくつもの訴求ポイントを持つのも強みだ。「何歳になっても、美しさと若返りを求め、毎日使い、しかも使い続けてくれる」。榎本社長がそう説明する同社の“商材”は、長寿・高齢化の市場にぴったりマッチする。 |
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