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模型用工具にキャラクターを組み合わせ大ヒット
(16/02/25)

 和服に革靴、ビールと大福、神社で讃美歌…。ミスマッチはどんなジャンルにもあり、今の時代、そんな意表を突く組み合わせが人気を呼ぶことも少なくない。“ミスマッチ大作戦”により、業績を大きく伸ばしているのが、工具製造販売のゴッドハンド(新潟県燕市、角田稔社長)だ。同社の意表は「工具にキャラクター」。イメージキャラクター『二パ子』を前面に打ち出した販促活動が奏功し、作るそばから売れる、といった何ともうらやましい事態に立ち至っている。

 同社はニッパー、ペンチなど作業工具のメーカー、ツノダ(新潟県燕市)を母体に、平成22年に発足した。角田稔社長は角田祐治ツノダ社長の長男で、ツノダの取締役製造本部長も務めている。「ネット通販を強化する」(角田稔社長)のが新会社設立の狙いで、他メーカーとのアライアンスも視野に入れた。ネット通販を通して、オリジナル製品の必要性を痛感し、それを実践したのが、今日の「作るそばから売れる」につながる。

 オリジナル品として世に出したのは、プラモデル専用のニッパーだ。ランナーと呼ばれる、プラモデルのパーツを結合している枠からパーツを切り離すために使う。独特の片刃構造を採用することで、抜群の切れ味を実現。3000円台(現在は4000円台)と競合品の2000円台よりかなり割高な価格帯にもかかわらず、プラモデルのヘビーユーザーに受け入れられ、まずは順調なすべり出しとなった。しかし、需要一巡後は注文がばたっと途絶える。そこに救世主・二パ子が現れる。

 同社製ニッパーを形どった「青色のおさげ髪」の少女=二パ子は、プラモデル愛好者とアニメ好きは重なると見て考案した。平成25年6月、二パ子がホームページ上で製品の特徴などを説明し始めると、アクセス数は急増し、販売数も急カーブで伸長。発売からそれまでの2年間の販売実績が4000丁だったのに対し、二パ子登場を経た今年1月までの累計販売数は7万丁にも膨らんだ。二パ子が顧客の裾野をライトユーザーまで広げた格好だ。昨秋からは海外向けの実績も出始めており「海外売り上げは月を追うごとに伸びている。国内外とも供給が間に合わない状況」(角田稔社長)とうれしい悲鳴を上げている。

 同社では「二パ子を育て上げ、飛躍させる」(同)との方針から、ニッパーPRの枠を超え、新潟発・燕発キャラクターとして多方面に売り込む『プロジェクト・二パ子』も展開中。同プロジェクトからラッピングバス、ネットゲーム、地酒でのニパ子採用など、さまざまなコラボが生まれており、交渉中の案件も少なくないという。意表を突いた工具の販促キャラ、二パ子が、この先も意表の組み合わせにより話題を提供し続けそうだ。

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