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TPP時代を先取りして、輸出実績積み上げる
(16/02/18)

 TPP(環太平洋経済連携協定)が大筋合意し署名式が行われるなど、TPP発効へ向けた環境整備が進んでいる。TPP以外にも“メガFTA”と呼ばれる多国間の自由貿易協定の交渉が、いくつも進行中。こうした状況を先取りする格好で、関税の撤廃・削減のメリットを最大限発揮することに活路を見いだしたのが中小商社のタスコ(大阪市、盆野頌二社長)だ。「全部で5人の零細企業」(盆野禎宏常務)ながら、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の有効活用によって、輸出実績を着実に積み上げてきている。

 タスコは防災関連製品の東南アジア向け輸出などを狙いに、盆野頌二社長が昭和46年(1971年)に立ち上げた。その後、社長の長男で、機械部品メーカーに勤めていた禎宏常務が加わり、現在は防災関連や、高品質潤滑油など自動車関連品の輸入業務も手掛けている。注目すべきは、消火器のインドネシア向け輸出において、日本・インドネシアEPAの活用により「それ以前と比べ、2けたの販売増を達成した」(同)という点だ。平成20年(2008年)、同EPAが発効したのに伴い、インドネシアの客先から同社に対し「EPA活用のための特定原産地証明書を取得してほしい」との要請が入ったのが始まりとなる。

 この証明書の取得には、付加価値基準もしくは関税番号変更基準をクリアする必要がある。しかし、当時の盆野常務は、それらの基準に関する知識が乏しかったことから、一旦は対応できないと断ったという。ところが、あるセミナーで新たな知識を得て「これなら当社でもやれる」と確信。消火器メーカーと共にEPAプロジェクトをキックオフして、平成23年(2011年)に同証明書を取得、客先のリクエストに応えた。当初は消火器だけだったのが適用範囲を消防設備機器にも拡大し「今ではEPAのヘビーユーザーです」(同)。

 関税の節減効果が大きいFTA・EPAではあるが、認識不足やとっつきにくさ、事務手続きの煩わしさなどがハードルとなって、その利用率は数十%程度にとどまっている。さらに、大手>中小>小規模と、企業規模が小さくなればなるほど、利用率は低くなっている。そんな中でタスコは一歩先を行く企業と言えるわけで、盆野常務はTPP/FTA/EPAセミナーの講師を頼まれ、自身の経験談を披露したりもしている。

 盆野常務は「日本製品は、品質は優れているが、どうしても価格面での国際競争力が弱い。その点、FTA・EPAで関税を削減できれば、メーカー、商社、現地販売店のいずれもが同じ利益を得ながら、販売価格を下げられ、つまりは競争力が向上する」と活用メリットを説く。TPPやメガFTAにより、世界のマーケット事情は激変すると見られる中、同社の取り組みは多くの中小企業・小規模事業者のお手本となりそうだ。

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