e中小企業コラム
「e中小企業コラム」一覧へ
ウェブサイト上の技法・仕組みで製造業の課題解決を支援
(16/02/15)

 よろず法律相談の窓口として、広く認知され活用されているポータルサイトに「弁護士ドットコム」がある。同ポータルを引き合いに出して「われわれが目指すのは弁護士ドットコムのものづくりバージョンなのです」と話すのは、『ものづくり.com』を運営する産業革新研究所(甲府市)の熊坂治社長。“よろずものづくり相談”を通し「まだまだ大きな伸び代がある日本のものづくりを支援。ものづくりイノベーター1万人を創出して、日本の製造業を変える」(同)とのビジョンを実現すべく、日々、進化発展を遂げている。

 産業革新研究所は大手電機メーカーで長年、開発業務に携わった熊坂社長が独立し、品質工学コンサルタントとして活動したのち、『ものづくり.com』の事業化を目的に平成23年に設立。翌年、事業を立ち上げた。下地となったのは、勤めていた電機メーカーでの実体験。「重要プロジェクトで大失敗したが、その後、ある手法を知って、こんなにスムーズに開発できるのかと驚愕した。その経験を踏まえ、社内イントラネットでの革新手法の情報提供を手掛けてみたら、確かな手応えを得た」(同)。

 立ち上げた『ものづくり.com』は、製造業が抱える品質向上、リードタイム短縮、コストダウン、競争力強化、環境対応など、さまざまな課題に、TRIZ(発明的問題解決理論)、TOC(制約条件の理論)、QFD(品質機能展開)をはじめとする種々の技法・仕組みを適用することで課題解決を図るウェブサイト。各種技法の専門家(コンサルタントなど)が多数登録されており、また、関連する多くの専門的コンテンツが同サイトに集約されている。

 無料登録した会員(製造業者)は、質問を投げかけたり、ふさわしい専門家を紹介してもらったりで、課題の解決につなげる。サイト運営の収入源は、専門家紹介時の手数料、サイト広告収入や、登録専門家のセミナーを編集したDVD販売、専門家からの協賛金など。現在、登録会員は約5000人で、毎日10人ペースで増えているという。同社では、彼ら会員を革新意欲の高い“ものづくりイノベーター”と捉えて「会員の増加ペースを速め、1年以内にイノベーター1万人を達成する」(同)と早期の大台乗せを目指している。

 あらゆるものがインターネット・ウェブ上に展開される今日、『ものづくり.com』とよく似たサイトは少なくないが「競合するサイトは、国内はもとより、海外にもなさそう」(同)と見ている。そこで、カナダ人スタッフを迎え入れ、サイトの英語化などを進めたうえで海外展開も図っていく計画だ。スタートから丸4年。「地方都市が拠点のため、広報が不十分で、まだまだ発展途上」(同)という同社には、日本のものづくりと同様に大きな伸び代が感じられる。

〔当サイトのコンテンツは中小企業庁・中小企業基盤整備機構の許可を得て掲載しています。〕
Copyright(c) Organization for Small and Medium Enterprises and Regional Innovation, Japan All rights reserved.
Copyright 著作権マーク SEIKO EPSON CORPORATION , All rights reserved.