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別府温泉由来の美容・健康商品で躍進中
(16/01/14)

 大分・別府といえば日本有数の温泉地としてつとに知られている。その別府温泉を長年に亘って研究し尽くした末に、美容と健康に有用な成分を発見し、化粧品などを商品化しているのがサラヴィオ化粧品(大分県別府市、濱田拓也社長)。創業者の濱田茂会長は「温泉研究は、始めは失敗の連続だったが、温泉の中に生息する微生物に着目したのが正解だった」と振り返る。地域資源を生かし、地方創生の一翼も担う同社は今年が創業10周年。節目を迎えた“温泉発ベンチャー”が活躍する舞台は今、大きく広がっている。

 同社は、濱田現会長が平成18年(2006年)に、別府温泉をはじめとする地域天然資源と発酵技術に基づく新製品を世に出し、社会に貢献しようと立ち上げた。温泉や発酵に関する研究成果は、化粧品、ヘルスケア、ヘアケアといった各種の製品群につながる。中央研究所、温泉微生物研究所など複数の研究所を擁して、社員70人弱のうち15人が研究業務に携わるという研究開発型ベンチャーの強みがいかんなく発揮された格好だ。

 温泉が体にいいとは古代ローマ時代から言われてきている。しかし、なぜ、体にいいのか、どの成分が効くのか…など未解明な点が少なくない。同社はそうした温泉の謎に迫ろうと温泉水やファンゴ(温泉泥)をあれこれ調べ回った。謎解きは容易でなく、当初はなかなか成果が上がらない。しかし、研究を深めるにつれ、徐々に新たな知見が得られるようになる。とくに、4年ほど前、それまで研究対象ではなかった微生物の一種、温泉藻類(温泉に生息する藻)に目を向けたのが大きなブレークスルーを生みだす。「リウマチや痛風に効く抗炎症機能を発揮する微生物が見つかった」(濱田会長)のだ。

 RG92と名付けた温泉微生物由来の物質は、その新規性や特異性、治療薬につながる将来性などが認められ、昨年1月には特許取得に至った。抗炎症のほか、痛んだ組織の回復やアンチエイジングの効用を示唆するデータも取れているという。すでに、“塗るだけ温泉”のキャッチコピーでスキンローションを発売するなど、RG92を実用化済み。国内外の企業や大学と推進中の共同研究の成果を踏まえ、今後、代替医療や機能性食品への展開も図っていく計画だ。その先には医薬品の開発も見据えている。

 昨年12月、東京・浅草に全国47都道府県の特産品を取り扱う50店舗が集結した「まるごとにっぽん」がオープンした。同館で一二の人気を誇るのが、同社初の直営店となる「おおいた温泉座」。足湯も備えた同店舗では連日、人だかりが絶えることがない。特許取得や直営店開設で弾みをつけた同社が、10年目の今年、『温泉の力で未来を変える』とのビジョン実現に向け、ホップ・ステップに続く大ジャンプを見せてくれそうだ。

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