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アジアの留学生トリオがアジアアフリカ向け中古車販売を急発進
(15/06/10)

 「発展途上国の人々の多くは日本人に劣らず勤勉です。ただインフラやビジネスツールがないために、勤勉という美徳を生かし切れていない。そこを何とかしようと、立ち上げたのが、発展途上国に日本の中古車を橋渡しする事業です」。中古車販売サイト運営のCar From Japan(カーフロムジャパン、東京)の代表取締役、イナム・イフテカルさんは、起業の理由をそう説明する。同社の中核メンバーはアジアからの留学生トリオで、半年前に同社を設立し、日本発・アジアアフリカ向け中古車ビジネスを急発進させている。

 留学生トリオとは、母国がバングラデシュのイナム代表取締役と、ベトナム出身で最高技術責任者(CTO)を務めるブイ スアン ズンさん、同じくベトナム人でマーケティング責任者のファン チー ホア ランさん。3人はいずれも立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)に留学し、その縁で、それぞれが日本国内の文具・家具メーカー、IT企業などに勤め、日本のビジネス慣行を学んだのち、合流して起業に至った。

 同社のビジネスモデルは、インターネット・ウェブを介して、海外のバイヤーと国内の中古車ディーラーの仲立ちをして、中古車輸出のプラットフォーム機能を担うというもの。ウェブには6月初め現在で1万8000台余りの中古車情報が掲載されており、掲載主である加盟店(中古車ディーラー)の加盟料や成約手数料が主な収入源になる。イナムさんは既存競合サイトとの差異を「ITと販売ノウハウ、それにグローバル人材が私たちの優位点」と流ちょうな日本語で語って、短期間で、業界の中で確固たるポジションを占めるまでに成長したと数字を挙げて説明する。

 同社ではターゲット地域をアジアアフリカと設定し、とりわけアフリカ向けに力を入れる考え。その根拠として「アフリカの中古車ニーズとくに日本車に対する需要は増え続けている」「世界の中でインターネット人口が一番増えているのはアフリカ地域」「ケニアでは成人人口の74%がモバイルマネー(携帯電話を用いた電子マネー)を利用している」などを指摘。そうしたデータから、アフリカを最有力のマーケットと見定めて、アフリカ市場を深掘りする戦略だ。

 同社には、ビジネス経験が豊富な日本人スタッフも加わっており、海外ネットワークを駆使し、インターナショナルな中古車販売ビジネスを急拡大させつつある。イナム代表取締役の「仕事を効率的に行うための道具や機械を、必要な人々に提供する。それが夢です」との思いに共感した人たちが、発展途上国の発展と自社の躍進とをシンクロさせる青写真を描いている。

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