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国産胡麻を国内外で拡販
(15/04/15)

 カルシウムや鉄分を多く含み、コレステロールを減らす効果もあるとされるなど健康にも良いとされる胡麻(ごま)。実は、国内で消費される99%以上が輸入品ということはご存知だろうか。生産性が悪く、収穫作業の機械化も難しいため、現在では先進国ではほとんど栽培されていない。輸入先はアフリカや中南米諸国が多い。そんな中、国産胡麻を国内外で拡販しようとする中小企業がある。佐賀市の「まんてん」だ。

 上場企業の漢方薬メーカーで生薬の研究開発に携わったまんてんの高尾秀樹代表取締役社長は、故郷の佐賀市にUターンしようと、地元の胡麻メーカーに転職した。胡麻は抗酸化作用を持つなど生薬の一つだから、経験を生かせると考えた。その会社で社長まで務めたが、オーナー企業だったため、「自分のやり方で経営したい」と思い、平成13年に独立し、まんてんを設立した。

 前の会社では原料に高級品のスーダン産を使っていたが、まんてんでは苦味が少なく柔らかい日本人好みのパラグアイ産を使った。「胡麻の味は原料や製法、さらにその日の天候や湿度によっても変わる生き物」(高尾社長)のため、毎朝、その日の天候によって職人が水分量を微調整し、少量ずつ擂る、煎るなどの加工を手作業で行う。差別化のため毎年モンドセレクションに応募し、「すり胡麻白」は今年も金賞を受賞。これで13年連続で金賞以上を受賞したことになる。

 ただ、国内の胡麻消費量は停滞している中で後発メーカーが生き延びるにはさらなる差別化が必要と考えた。国産品の商品化だ。佐賀県では江戸時代から胡麻栽培が行われていたが、高尾社長が地元の農家で自家用に栽培しているところを探した結果、鞘の横断面が鍋島藩の家紋の図柄ともなった品種を発見した。味は甘く、どんな料理にも合うと思った。

 その種をもらって栽培法を研究し、昨年から純国産の「鍋島小紋ごま」として販売を始め、専用のホームページも開設した。現在は25軒の農家に栽培してもらい、昨年は600キログラムを収穫した。昨年7月には国の地域資源活用事業計画に認可され、認知度も向上しつつある。これまでは地元の空港や百貨店、物産館などで販売していたが、食品関連の展示会に出展したところ好評で、「販路拡大の感触を得ている」という。

 高尾社長の視線は海外にも向いている。「国内販売で成長が続いているうちに投資しよう」と、香港や台湾など海外の展示会にも出展している。中国産に比べ価格は約2倍と高いが富裕層向けの需要を狙っている。高尾社長は原料からの流通体制を固めたうえで、「鍋島小紋で勝負しよう」と意気込んでいる。

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