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“魅せるPOP”づくりで、売り場に新風
(15/03/04)

 POP(ポップ)と呼ばれる広告媒体の分野に新風が巻き起こっている。誰でも、手軽に、“魅せるPOP”を作成できるようにする仕組みの登場が、新風の発生源となる。レイン・バード(東京、東里美社長)が開発した「POPKIT(ポップキット)」がその仕組み。手応え十分の毎日が続く同社では「ポップキットがPOP作成のスタンダードになると確信している」(東社長)と、事業の成長発展に並々ならぬ自信をのぞかせる。

 POPとは、小売店や飲食店の店頭、店内で「本日の特売品」、「店長イチオシ商品」などを来店客に訴求して、財布のひもを緩めさせる“売り場最前線の販促ツール”となるもの。各種のディスプレーを用いるPOPもあるが、古くからの紙媒体が、今でも広く普及しており、主流となっている。そのPOPを大きく進化させようというのがポップキットである。

 約6,000点(今年1月時点)のパーツ(プロが制作したキャッチコピー、イラストなど)を用意し、ユーザーが各パーツを任意に選択し組み合わせるだけで、見栄えが良く、お客の目に留まりやすいPOPを短時間、低コストで作れるようにした。商品の写真や、店長、スタッフなど人物写真も簡単に取り込める。現在はタブレット端末「iPad」用の無料アプリとして提供されており、今後、「iPhone」版も投入する。東社長は「インターフェースにこだわって、パソコンが苦手な、肉屋のおばさんでも簡単に使えるように工夫した」とポップキットの特徴を説明する。

 同社は、グラフィックデザイナーやアートディレクターとして、POP業界15年のキャリアを持つ東社長が平成24年4月に独立、創業した。これまでは、パーツの販売とネット上の広告を収入源とするビジネスモデルだったが、創業から3年となる今春、無料版を大幅にパワーアップさせ、複数店舗でのPOPデータ共有機能などを盛り込んだ法人版ポップキットを発売。月額利用料制を導入し、企業のカスタマイズ需要に応えるなど業容拡大に向けて新展開を図っていく。大手飲料メーカーが飲食店向けセールスにポップキットを採用するといった話が、すでに出てきている。

 さらに同社では、各店舗のPOPをネット上で閲覧できるようにするなど、O2O(オンライン・ツー・オフライン:インターネットなどのオンラインから店舗などのオフラインへ消費者を呼び込む施策)による“商売繁盛作戦”も煮詰めている。オールドメディアそのもののPOPが、携帯端末やインターネットと組み合わさることで最先端のメディアへと変身しそうだ。

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