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日本人起業家がカンボジアで快進撃を続ける
(15/01/21)

 カフェの経営を手始めに、わずか数年で年商100億円、手掛ける事業はカフェ、ラーメン店、不動産、流通卸、家具製造から土木建設、テレビ局まで、多岐にわたる複合企業体を作り上げた辣腕の起業家がいる。トライアジアグループ(TAG)を率いる横井朋幸・最高経営責任者(CEO)がその人。はて、あまり聞かない名前だが…と首をかしげる向きも少なくないだろう。それもそのはず、TAGの活動拠点はカンボジアの首都プノンペン。横井CEOは単身カンボジアに乗り込み、彼の地で創業し、疾風怒濤の快進撃を続けている。

 横井CEOは2012年7月、33歳の時、高級カフェをプノンペンに開いた。高級カフェが珍しいうえに経営者が日本人というのも注目され「現地のテレビ局が4局も取材に来た」(横井CEO)などメディアに大きく取り上げられて、カフェは大当たりする。勢いづいた横井CEOは、持ち前の行動力、積極性をいかんなく発揮し、新規事業に次々と着手。今では合計10に及ぶ事業を営み、その一つ、テレビ事業は「カンボジア初の日系地上波テレビ局を開局し、日本の人気テレビ番組を放送している」(同)。

 愛知県出身で、高校卒業後、ミュージシャンを目指して英国へ渡るも、知り合った英国人の起業家に心酔して、自身も起業家となる決意を固める。帰国後、簿記専門学校で学んで、さらに北海道大学に編入学。北大では学生ベンチャーのマーケティング会社を経営し、実績を上げ、次いで東京に進出してコンサルビジネスを推進。同社の売却で得た資金を元手に、カンボジアで起業する。これが横井CEOのTAG設立までの歩みとなる。

 では、なぜカンボジアなのか。横井CEOは「井深大、松下幸之助、藤田田といった人たちの本を読み、彼らを手本に事業を興すには、基盤がみんな揃っている今の日本は時代が違いすぎると思えた」と“成熟市場の限界”を感じ取った。その一方で、「世界20カ国を放浪し、新興国への思いが芽生えた。特にカンボジアは地雷、貧困、内戦のイメージが強いが、インターネットのある昭和30年代の日本というのが実像だ」と、将来性を肌で感じ、同国での起業に踏み切った。

 実際、カンボジアは、発展する東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のなかでも経済成長率が最も高いという。さらに「土地の所有以外は何でもOK。資金の持ち出し、持ち込みが自由など、外資に対する規制緩和ぶりがすごい」(横井CEO)とのこと。地の利、時の利を得たTAGの快進撃が、ここ当分、止まりそうにない。

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