会社を良くする「経営の教科書」
一覧はこちら
経営の教科書
(2017.2.22)

第75回 企業の出口戦略について(7)

 今回で以下の表の説明は終わりになります。では早速始めましょう。

事業承継M&A
(1)印象が良い(日本の伝統)印象が悪い(誤解による)
(2)比較的早期に継承者が決まる後継社が見つかるか不確定
(3)企業価値を引き下げるプランが必要企業価値を高めるプランが必要
(4)承継後も責任が残る承継後は責任から開放される
(5)相続と合わせたプランニングが必要M&Aのみでプランニング可能
(6)後継者の資金調達支援が必要後継社の資金調達支援は不要
(7)創業者利益は退職金創業者利益は株式譲渡の対価
(8)主な外部相談相手は税理士や銀行主な外部相談相手は銀行かコンサル

 (7)についてですが、これは事業を引継ぐ先代のセカンド・ライフに大きく関わってきます。私もこれまで様々な事業承継の現場を見てきましたが、中小零細企業の事業承継において退職金を先代がしっかり取ってリタイアできるケースは、残念ながらあまり多くありません。そこまで財務状態に余裕が無いからです。

 退職金を一旦は受け取ったとしても、再度会社の運転資金としてご子息の引き継いだ会社に貸付するというケースもあります。そのような場合は、その貸付金は将来の相続財産になるので要注意です。

 一方、M&Aは前提として資金力を含めた経営力のあるお相手に譲渡することになるため、リタイア後の資金が確実に手元に残るのは間違いありません。経営者やドクターの中には自分の時間を犠牲にして仕事に邁進してきたという方がたくさんいます。事業を譲った資金をセカンド・ライフに楽しむために使うのも、豊かな人生に繋がるでしょう。

 最後の(8)は皆さんの置かれている状況で異なるでしょうが、特にM&Aというと、相談相手が明確でないケースが多いのが現状です。特に小規模の企業になると、民間のM&A支援機関では手数料との関係から、案件がテーブルに乗らないという場合も有るようです。

 私共は小規模でも日本にとって大切な技術や文化、雇用の場を提供している企業がたくさんあることから、小規模のM&Aを支援している士業のネットワーク「一般財団法人M&Aで日本を再編成する会(http://mjr-zaidan.com)」と連携しております。お問合わせの有る方はお気軽にどうぞ!

 事業承継とM&Aの違いを整理してきましたが、皆さんジックリお考えになったことの無いテーマだったのではないでしょうか。皆さんの会社は後世に残すべき素晴らしい会社です!是非、今回の内容をきっかけに御社の出口について考えてみる機会にして下さい!