会社を良くする「経営の教科書」
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経営の教科書
(2016.11.09)

第69回 企業の出口戦略について(1)

 私達人間を自然人といいます。自然人とは、簡単に言えば寿命のある人間のことです。これに対して法人という概念があります。これは人間ではないけれど、法律によって、権利や義務の主体となりうる資格が与えられた人格です。自然人と法人の決定的な違いは、自然人には寿命があり、法人には寿命がないことです。

 日本には100年を超える企業が約2万6千社存在するという結果が帝国データバンクより発表しています。その中で最古の企業は金剛組という578年に創業された建設業であることは、ご存じの方も多いかもしれません。このように、永く生き続ける事を可能としたのが、企業であり、近代ではそれを法人という概念で説明する場合が多いです。

 当然、法人を運営するのは自然人たる私達人間ですから、寿命の有る人間がどの様に法人を永続的に発展させていくのか?つまり次世代へと引き継いでいくのか?という命題が生まれることになります。当然、次世代へは引き継がず(引き継げず)に法人としての使命を終えるという選択肢もあります。それらを総称してここでは『企業の出口』と呼ぶことにします。

 では企業の出口にはどのような選択肢が有るのでしょうか?その選択肢は5つです。(1)上場、(2)事業承継、(3)M&A、(4)清算、(5)倒産という「5つ」の選択肢の中から一つを必ず企業は選ばなければなりません。これはまぬがれようのない事実なのです。

 企業を経営する皆さんは、一度ぜひ「自社はどの出口に向かうのか」について考えてみて下さい。今、まだ20代だから、30代だからといって先延ばしにしてはいけません。出口を思考するのに若すぎるということはないのです。何故なら、それぞれの出口によって準備すべき内容が異なるからです。是非一度、自社の出口を考えてみて下さい。

 次回からは、それぞれの出口について詳しく整理していきたいと思います。自社の出口を思考する際に是非参考にして下さい。