会社を良くする「経営の教科書」
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経営の教科書
(2016.11.09)

第68回 数値化したライフプランから考える「次の一手」(3)

 前回確認した【A社長】のライフプランに引き続き、今回は【B社長】のライフプランから具体的対応について掘り下げて考えてみたいと思います。

 B社長は平均余命時点で、現預金残高が約一億円になる見込みです。やりたいことを全て組み込んだ将来設計ですから、大きな出費の増加は考えにくいとすれば、考えなければならないテーマは「(1)相続対策」「(2)個人資産の管理・運用」「(3)法人の資金計画」の3つになります。

 (1)の「相続対策」ですが、これは何度も説明している通り、グラフが現しているのはあくまで現預金のみですから、その他自宅や投資物件等の不動産・有価証券や海外資産等が別にあります。更に、中小企業の場合は自社株が思いがけず大きな相続財産となり、資産総額を大きく膨らませます。ですから、現預金が大きくプラスになる場合はすぐに顧問税理士等の専門家に税額シミュレーションと、対策検討をお願いして下さい。相続対策は早期に着手すればするほど効果があり、場合によっては税額が数千万変わるということもあり得ます。

 (2)の「個人資産の管理・運用」についても、信頼できる専門家を探して管理・運用を相談することをお薦めします。ゼロ金利時代でかつ目標インフレ率2%という数値をベースに考えると、単純に銀行預金をしているだけでは財産は確実に目減りしていきます。今は海外の金融商品も選択肢に入れることが必要で、信頼のおけるブレーンを見つける事は必須です。

 (3)の「法人の資金計画」ですが、法人の5つの出口(「上場」「承継」「M&A」「清算」「倒産」次回以降詳しく紹介します)まで視野に入れ、長期的資金計画を作成し、場合によっては役員報酬、役員退職金の金額を見直すことが必要かもしれません。個人に現預金を移転させても、相続税が増えるだけということであれば、ゴーイングコンサーンの為に法人にお金を残したほうが有効かもしれないのです。

 以上を踏まえ、是非、個人と法人両方の視点からプランニングを進めて下さい。次回からは、法人の出口戦略について考えてみたいと思います。