会社を良くする「経営の教科書」
一覧はこちら
経営の教科書
(2016.10.24)

第67回 数値化したライフプランから考える「次の一手」(2)

 前回、個人のライフプランと会社の計画が密接に関係していることを確認しました。前回紹介した【A社長】のライフプランから預金残高をグラフ化した右下の図をつかって、具体的対応について掘り下げてみたいと思います。

 グラフが赤い“0ライン”より下になるのは、その時点で預金残高が“マイナス”になることを意味します。これではA社長は途中で財務破綻してしまいますので、ライフプランを見直さなくてはいけません。

 当然「収入を増やす」か「支出を減らす」ことを考えていきます。「収入を増やす」ことは「役員報酬の増額」を意味しますので、会社の事業計画の検討、見直しが必要です。全社員が乗り合わせている“船(会社)”の攻撃力、守備力、持久力を高めつつ、報酬を増やすのは簡単ではありません。原則的に考えるべきは、取引サイト及び棚卸回転率の見直しです。

 売上を上げるのでも、経費を減らすのでもなく現預金残高を増額させるというサイトの変更を柱とした財務戦略は、単に机上で数値を積み上げる計画と異なり、自社主導で実現できる可能性が高く、報酬という固定費を増額するためにはこの手法が最も適しています。

 一方で「支出の削減」ですが、これを実現するには、ただ闇雲に生活レベルを下げるとか、趣味に使う費用を下げるというのではなく、先ずは「毎月(毎年)幾らの貯蓄をする必要があるか?」を明らかにしなければいけません。

 グラフから将来幾らの資金が不足するのかが明らかですので、在職年数でその金額を割れば年間の必要貯蓄額がわかります。次に、その目標金額を実現するために、どの支出項目を減らすのかに優先順位を付け、具体的に実現可能か?を検討するのです。家庭のことですから、結婚されている社長様は、奥様との話し合いは必須でしょうか?

 次回は、潤沢に資金がのこるB社長の場合を考えていきます。