会社を良くする「経営の教科書」
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経営の教科書
(2016.08.23)

第63回 社長と社員のライフプランと会社との関係性

 全社員の前で「手元に白紙を一枚用意してください。そこにあなたが5年後に欲しいと思う年収を書いて下さい。一切遠慮する必要はありません。皆さんが書いた年収を必ず支払いたいと思います」と言ってみてください。「そんなことをしたら収集がつかなくなる」「必ず支払うとは言えない」といった心配は無用です。

 次に、全社員が年収を記載した用紙を回収し合計してください。そうです。それが御社の5年後の人件費です。意外と控えめな数字ですか?それとも、途方も無く大きな金額になりましたか?

 では、その人件費を現状の労働分配率(粗利に締める人件費の割合のことで【人件費÷粗利益】で求められる)で割り戻して下さい。すると、5年後にそれだけの人件費を拠出するために必要な粗利益の額が算出できます。あとは、その粗利益を、現状の粗利益率で割り戻せば5年後に必要な売上高が明らかになります。

 そして、全社員にこう伝えます「この売上高が達成できれば、5年後、間違いなく皆さんの希望した年収を支払うだけの人件費が確保できます。さあ、この売上を実現するための計画を一緒に立てましょう!」

 多くの場合、目標となる売上高はとても大きな金額になります。「そんな大きな金額の売上を実現するには人が足りない。人を採用しよう…。あれ?そうするとまた人件費が増えてしまう…」そんなやり取りを経て、実は会社の財務の計画と、社員一人ひとりのライフプランは完全に一体なのだという事実に気づく事ができます。当然社長も例外ではありません。

 自分の人生設計を改善していく視点と、会社の財務内容を改善していく視点、その両方の視点を持たなければ、全体の財務を見たことにはならないのです。是非、同じ船に乗っているという事実を明らかにするためにも取り組んでみて頂きたい内容です。次回は社長の人生設計と会社の財務についてもう少し踏み込んでみます。