会社を良くする「経営の教科書」
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第48回 全社員がヴィジョンを持ち、上司がその支援をしているか?
(実行力 その5)



 会社(船)の船長である社長に「社員のヴィジョン策定とそのフォローの制度」についてお尋ねします。以下の選択肢から御社の現状に最も近い状態を選択してください。

Question 会社の経営計画書のように、社員一人ひとりが自分の将来を明確にイメージし、目標を持って仕事に取組んでおり、上司がその支援をする為の「制度」が用意されていますか?

 Level1)  社員の計画の必要性について考えたことがなかった。

 Level2)  将来像を描くように指導はしているが、確認をしたことはない。

 Level3)  個別面談等の仕組みが有り、社員のヴィジョンとそれに伴う目標の確認はしているが、日々フォローまではできていない。

 Level4)  社員のヴィジョン・目標を対話によって確認し、日々フォローすることが出来ている。

 「会社が成長する」とはそこで働く「社員が成長すること」に他なりません。従って、「会社の成長のヴィジョン」は、そこで働く「社員の成長のヴィジョン」になります。確かに、社員は日々の業務を通じて経験や知識、スキルを身に付けますが、それは過去延長の成長であり、飛躍的成長にはなりません。つまり、社員の成長を支援しない企業が成長することはないのです。

 だからといって、社員に「将来のヴィジョンを描きなさい」というだけでは不十分です。社員同士や会社との関係性が断絶したヴィジョンを描いたのでは、成果に繋がらず逆効果になることさえあり得ます。会社と自分自身の成長を重ね合わせたヴィジョンや目標を設定するには、周囲のメンバーやリーダーとの対話が不可欠なのです。

 次に、ヴィジョンや目標の達成に向かうプロセスで、必ず出現するのが様々な障壁です。これこそが、ヴィジョンを明確にした事で得られる大切な報酬のようなものだといえます。そして、その障壁と向き合っている部下に最も必要なのが上司のフォローなのです。

 ここでいう上司のフォローとは、ノルマを管理して部下に指示をするような、技術的・能力的な支援ではありません。「もう無理なのではないか?」と思える現実の壁を目の前にした部下の心に再び火を付け、再度立ち上がる智恵と力と勇気を与えるのが上司のフォローであり、具体的には部下との徹底した対話が必要になってくるのです。

 さて、御社の現状のLevelはどの段階でしょうか?明日から一つ上のレベルを目指した取り組みをスタートさせましょう!未来を予見する最も良い方法は、その未来を自らが創りだすことです。部下の成長を支えることがリーダーであるあなたの大切な仕事なのだから。