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第33回 売上を「固変分解」する(経営会計 その6)


 前回、経営会計の世界では算数が当てにならないという話をしたが、今回は「売上」を経営会計の視点で捉えていきたい。

 「売上」について考えるとき、必ず出てくる算式がある。売上=単価×個数(客数)。つまり、売上が下がった=単価が下がったor個数(客数)が減少した。その要因は? と踏み込んで分析・検証していく。最終的に行き着くところは「商品別ポートフォリオ」であったりする。まあ、これはどの本にも出てくる売上の考え方(一般的なのでここでは深追いしないだけで、この考え方が大切であることは補足しておく)。

 今回は、更に売上高を「固変分解」する必要性について考えてみたい。

 経費に「固定費と変動費」があるように、売上にも「固定売上と変動売上」がある。それぞれをイメージで説明するなら固定売上が農耕による収穫で、変動売上は狩猟による収穫。このイメージだと自社の商売の形態が狩猟型だから「我が社には固定売上は無い」という意見が出てきそうだが、それは間違いである。狩猟型の商売であっても、最低限毎月又は毎年このくらいの売上は上がるというラインはあるはずで、それを経営会計では固定売上と定義する。

 そう考えると「固定売上ってすごくアバウトなもの」と感じるかもしれないが、そうではない。その会社の理念や目的が固定売上と変動売上の間にある明確なラインを導き出すのだ。だから売上の「固変分解」は経営会計のカテゴリーに入る。

 当然、固定売上の額と固定費の関係性はとても重要になる。自社の固定売上が固定費を超えた時、会社(船)に安定航海をする体制が整ったと言える。

 さて、社長の会社の売上を「固変分解」した時のバランスはどうなっているだろうか? 更に、固定売上と固定費の関係性はどうなっているだろうか? 一度、固定売上と変動売上という視点で自社の売上高を整理してみよう。わからなければ、航海士である会計事務所に尋ねてみよう。