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第31回 「資産」と「負債」は定義で180度変わる!?(経営会計 その4)


 経営会計を考えていく上で大切なのは「各科目の定義」。今回はB/S(貸借対照表)を構成する「資産・負債・純資産」のうち、「資産・負債」の定義について考えてみたい。

 資産とは貨幣価値に置換可能で、所有していることで現時点から将来にわたり収益をもたらすもの。一方、負債とは貨幣を支払う義務であり、資産の定義を裏返して表現すれば、所有していることで現時点から将来にわたる収益を滅失させるもの、と定義できる。

 つまり、資産が負債を上回る企業は好循環で、資産を負債が上回る企業は悪循環に陥っていることになる。おそらく多くの企業が決算書上は資産が負債を上回っていると思うが、実態もそのとおりだろうか?

 ここで経営者の皆さんに是非確認して頂きたいことは、上述の定義に従って自社の「資産・負債」の見直しをすること。例えば、所有している不動産が収益をもたらさず、ただ固定資産税の対象になっているだけだとしたら、それは決算書上では資産でも経営会計上は負債に分類されることになる(その他にも、無駄に高額な車両やゴルフ会員権、ヨット…等々が該当?)。

 一方、決算書上の負債のうち、例えば借入金は収益に貢献するから借りているはずなので、上述定義に従えば資産に該当する可能性も充分あり得る(当然これは概念の話で、本当に資産に計上したら笑われてしまいます…)。運転資金や、低利だからという理由での借入は経営会計上も当然負債のまま。

 すると、会社の実態に則した資産・負債にバランスが変わるのだ。

 さて、御社の貸借対照表をこの定義に従って整理したら、資産はどれくらい負債を上回っているだろうか?一度決算書を手元においてじっくり吟味してみよう。もし、負債が資産を上回るようなら直ちに改善に取り掛かろう。わからなければ航海士である顧問税理士に尋ねてみよう。