会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第27回 経営を司る会計、それが“経営会計”


 これまで、会社の攻撃力・守備力を確認する為の「6要素診断」と、血液の流れを確認する為の「資金会計」について説明をしてきた。会計分野の最後のパートとして、最も重要かつ重大な「経営会計」について説明をしたい。

 経営会計とは、一言でいうと、ズバリ「その企業の『理念・目的』に基づき確立・評価される会計」であり、10社10様の物差しになる。

 例えば、今この瞬間会社の売上が止まったと仮定する。「そんなことはあるはずのない!非現実的だ」と考えないでいただきたい。近年、経営陣の不祥事や業界内の風評被害によって売上が激減するという事例は枚挙に暇が無い。御社がそのような事態に陥った場合、一体どの程度経営が維持できるのか? どの程度の期間の兵糧を蓄えているのか? を表現したものが経営会計のひとつである。

 その他にも、会社によって全体の固定費の何パーセントを未来投資に当てているかを指標とする場合もあれば、役員報酬の増減と利益の関係を指標としている会社もある。これらの指標は、その会社や経営者の掲げる理念や目的、ヴィジョンや戦略によって異なるし、同じ指標であっても、適正な値は全く違うものになる。

 大切なのは、これらの指標を経営者が明確にしているか否かということ。「6要素診断」や「資金会計」は、あくまでも一般論であり、外的要因によって格付けされてしまう指標だが、「経営会計」は企業や経営者が「自らの意思」で設定するという意味において、重要度や必要性がその他の指標と全く異なっている。

 つまり、前者が「会計に支配された」指標であり、後者が「会計を支配し活用した」指標なのだ。さて、あなたはあなたが経営をする上で必要とする明確な指標を持っているだろうか?自社の理念や目的、ヴィジョンや戦略と照らして必要となる指標を設定しよう。ピンとこなければ航海士である税理士と一緒に検討してみよう。