会社を良くする「経営の教科書」
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第23回 会社の資金の「2つの性質」


 前回までに会社の決算書にのっている資金(=現預金)には4つの種類があることを確認してきた。整理すると次の通り。

(1)創業以来儲けてきた資金
(2)長期調達と長期投資の差額資金
(3)回収と支払のサイト差によって生じる資金
(4)すぐに出ていく資金と、すぐに回収可能な資金の差額資金

 この4つの種類は、更に性質によって2つに分類できる。それが「健全な資金」と「不健全な資金」。分類方法はいたって簡単。(1)〜(3)を合算したものが「健全な資金」。(4)が「不健全な資金」となる。

 (4)の資金が「不健全」な性質に分類される理由は、すぐに出ていく、いわば緊急輸血をした血液だから。決算書にいくら多額の現預金があっても、その9割が(4)の資金だとするとこの会社は極めて危ない状態にあると言える。だから不健全な資金。

 一方で、(1)〜(3)の資金は長期間確保可能な資金であり、安定的に体内を流れている資金の性質になる。この健全な資金が毎年増えていっているのかを確認しておく必要がある。これは利益が出ているか、出ていないかとは別問題なので要注意。損益計算書では利益が出ているのに、健全な資金はマイナスになっているということは良くある話。

 この話は実はものすごく重大!

 顧問税理士から「社長、今期は利益が出てますよ!」といわれたA社長が「そうか…。それなら決算対策でパソコンでも買っておこうかな…」という判断をしたらたいへん! 実は健全な資金は減少しているのに、更にそれに拍車をかけて会社を悪くすることになる。原因は健全な資金の増減を確認していないから。

 さて、あなたの会社の健全な資金は前期よりも増えているだろうか? わからなければ航海士である顧問税理士に尋ねてみよう。