会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第17回 確認すべき計器と、とらわれてはいけない計器


 これまでは会社(船)の状態を確認する視点として「攻撃力」と「守備力」をみてきたが、最後に「持久力」の視点について確認したい。

 持久力は以前紹介した通り、ボクシングに例えると何ラウンド戦い抜く体力があるかを確認する視点。いくらパンチがあっても、ガードが固くても1ラウンドしか戦えないボクサーではチャンピオンになるのは難しい…。

 では、会社(船)の持久力はどこで確認すれば良いのか? それはズバリ!「現預金の量」。例えば、たった今売上げが“0”になっても、3年分の人件費が現預金として蓄えられていれば、他の新たな戦略を打つのに必要な最低限の時間が確保できる。それが持久力!

 では現預金を会社に蓄える為にはどうすればいいのか? 答えは簡単! できるだけ現預金が外に出ないようにすればいい。「そんなの当たり前でしょう?」という声が聞こえてきそうだけれど、ほとんどの会社がそうなっていない。恐らく社長の会社もそうなっていない!

 例えば、節税の為に一括で損金になる物品を購入したとしたら、会社にお金が残らない手を打った事になる。一概に言えないけれども、節税の為に加入した保険も間違った手になっている可能性がある???

 ポイントは1つ。「損益計算書(P/L)」でなく「キャッシュフロー計算書(C/F)」を確認すること。P/Lは利益を司り、C/Fはキャッシュを司る。そして「利益≠キャッシュ」。P/Lを幾ら見ていても現金を増やす対策は見えてこない!「Profit is opinion/Cash is fact(利益は見解、キャッシュは真実)」といわれる程に利益は当てにならない。

 つまり! C/Fが確認すべき計器であり、P/Lは決してとらわれてはいけない計器。

 早速、C/Fを作成し、キャッシュ最大化の構造になっているか確認しよう。分からなければ航海士である会計事務所に尋ねてみよう。