会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第 5回 全ての企業が共有する使命…。それは『ゴーイング・コンサーン』


 企業は『永続的に発展する事(ゴーイング・コンサーン)』に意味と価値がある。特に中小企業にとってはより重大な使命だと言える。何故なら、例えば、社長が何らかの理由で急に経営を継続していくことが困難になったとすると、中小企業においては、経営が即座に行き詰る可能性が大きい。

 社員はその日から無職になり、その社員の家族はいきなり路頭に迷う。社員が毎日通っていた定食屋さんやタバコ屋さんは売上が激減し、当然取引先は取引が減少するばかりか、新たな取引先を探し、価格交渉や品質面の確認を一からやり直さなければならなくなる…。

 有機的関係性で成立している社会において、企業は、そこに存続するだけで測りしれない影響を周囲の環境に与えている。だから、全ての企業が共有する使命が『ゴーイング・コンサーン』でなければならない。

 日本には、実に2万6千社を超える百年企業があるという(帝国データバンク調べ)。諸外国と比較すると、これは驚異的な数字である。日本人のDNAにゴーイング・コンサーンと言う意味と価値がたたき込まれている証拠だろうと思う。この事実から世界中の経営者が『日本の経営』に大いなる関心を示しているのは紛れもない事実である。

 企業は一旦誕生したら、5つの出口しかない。(1)上場、(2)事業承継(後継者)、(3)M&A(後継社)、(4)清算、(5)倒産。ゴーイング・コンサーンを使命とすれば、(1)〜(3)の選択肢しかない。出口によって取るべき対策は全く異なるものになる。

 先ず自社はどの出口を目指すのか? を明確にしよう。そしてその為に財務上なすべき事を整理しておこう。航海はもう始まっているのだから…。