会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第 1回 会社は『船』だという現実を全社員と共有しよう!


 会社を船だと例えたら…。太平洋のど真ん中を航海している船に乗った船員が、まさか自分の船の船底の板をはがすようなことはしない。自らマストをへし折るようなこともしない。船が沈没することは、イコール自分の死を意味するからだ。なのに、自社の商品に農薬を混入する社員や、取引先にリベートを求め自分の懐だけを温めようとする経営者、私利私欲のために数億の資金を使い込んでしまう経理マン…、そんな事件が後を絶たない。その行為は、自分の乗っている船を破壊し、沈没させる行為なのに…。

 何故そんな事件が後を絶たないのか? それは自分が所属している会社が自分自身も乗り合わせている船なのだという現実に対する認識が欠落しているからだ。その認識が正しくできれば、船を破壊しようとする社長(船長)も社員(船員)もいなくなる。もっと言えば、社長も社員も船がより大きく、強く、安定していることを望むようになる。自分さえよければ良いと考える乗組員はいなくなる。それぞれが、それぞれの立場と役割の中で、船を強くする事に全力を注げるようになる。

 船は物理的なものだから、買い替えない限り新たな船にはならないけれど、会社は生き物だから皆が問題を共有し、「より強い会社にしよう」と思えば幾らでも強い会社にしていける。社長の会社はいつ沈んでもおかしくない「いかだ」になっていないだろうか? 必死でこがないと進まない「ボート」になっていないだろうか? 乗り心地はよくないけどエンジンの付いた「漁船」でもなく、安定航海可能な「客船」でもなく、環境の変化に即時対応できる「戦艦」クラスを目指そう!

 会社を良い会社にしようと思ったら、「全社員と同じ船に乗っている」という現実を全社員と共有することから始めよう!