税務調査の法的知識
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第59回 重加算税の法的要件

(16/05/13)

 重加算税(期限内申告で35%)が課される法的要件を確認しましょう。

国税通則法第68条第1項
第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条第5項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

 この条文規定からわかることは、重加算税の法的要件は、下記の2つを同時に満たした場合であることがわかります。

(1)過少申告加算税が課される要件を具備していること
(2)仮装・隠ぺい行為をしていること

 なお、(1)は見過ごされがちですが非常に重要で、「過少申告加算税の法的要件」と「事前通知後の加算税」にもあるとおり、事前通知を受けた後であっても、税務調査初日までに修正申告を提出した場合、過少申告加算税が課されませんから、いかに当初申告で仮装・隠ぺい行為があったとしても、重加算税も課されないことがわかります。