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第55回 過少申告加算税の法的要件
(16/03/09)

 当初申告を期限内にして、その後に修正申告をすれば無条件に10%の過少申告加算税が課されると思い込んでいる方が多いですが、それは違います。

 まず、過少申告加算税の法律規定を確認します。

国税通則法第65条
期限内申告書(還付請求申告書を含む。第3項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第1項ただし書又は第6項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第35条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。

 以上より、「原則として」修正申告した場合、増差税額(本税)に10%の過少申告加算税が課されることがわかります。

 その一方で、例外規定が存在します。簡単にいうと、自主修正申告であれば、過少申告加算税は課されません。

同条第5項
第1項の規定は、修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない。

 つまり、税務調査で誤りの指摘を受けて修正申告した場合、過少申告加算税は課されますが、自ら誤りに気付いて自ら修正申告した場合は、上記第5項のいわゆる「更正の予知」に該当しませんので、過少申告加算税は課されないというわけです。