税務調査の法的知識
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第47回 通達違反は○○法違反!
(15/11/06)

 前回のコラム「通達とは何か?」でも書いたとおり、通達とは「税務署職員が守らなければならないルールであり命令・規則」であり、調査官は税務調査において、通達を守らなければなりません。

 では、調査官がこれら通達に違反した場合、納税者・税理士は何を根拠に調査官を追及すべきなのでしょうか。

国家公務員法105条(職員の職務の範囲)
職員は、職員としては、法律、命令、規則又は指令による職務を担当する以外の義務を負わない。

 この規定から明らかなように、公務員は法律だけではなく、定められた命令や規則を守らなければなりません。調査官にとってみれば、法令解釈通達や事務運営指針などの「通達」すべてが命令・規則に該当します。

国家公務員法98条(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)
職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

 以上から、法令解釈通達や事務運営指針に定められた調査手続き等に違反するというのは、「国家公務員法違反」ということになります。

 もちろん、違反した場合は、懲戒の対象になります。

国家公務員法82条(懲戒の場合)
職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
二  職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合

 調査手続きについては、通則法はもちろんのこと、法令解釈通達と事務運営指針を知っておく必要があり、調査官が違反していた場合は、国家公務員法違反として追及できますので、ぜひ覚えておいてください。