税務調査の法的知識
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第35回 税務署からの電話連絡は税務調査か?
(15/05/07)

 申告書提出後から間もない頃は、税務署から電話連絡がある時期です。税務署が机上で申告書を精査し、申告内容に疑問・誤り等があった場合、納税者・顧問税理士に連絡してくるからです。

 では、税務署から電話連絡があり、その指摘通りに申告内容に誤りがあった場合、修正申告書を提出すれば加算税は課されるでしょうか? 課されないでしょうか?? 答えは・・・

・「行政指導」であれば、加算税は課されない
・「税務調査」であれば、加算税は課される

となり、一概にどちらとも言えません。

 こういうと、「調査は事前通知があるのだから、電話で誤りを指摘されたことは、調査に該当しない」と思われるかもしれませんが、それはわかりません。

 調査=質問検査権の行使は、対面でなければできない(電話ではできない)と規定されていませんので、電話でも調査ということは、法的にはあり得るのです。

 では、税務署から電話・郵送等があった場合、税務調査なのか行政指導なのかをどうやって区分すればいいのでしょうか?

 国税庁のサイトには下記の記載があります。

税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
問2の一部抜粋
「なお、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。」

 税務署職員からの「明示」が実行されているのか、甚だ怪しいことは、税務署からの電話連絡を常日頃から受けている税理士であれば、お分かりいただけるものと思います。

 だからこそ、税務署から電話連絡があり、調査の事前通知でないのであれば、まず「この電話連絡は調査ではなく行政指導ですよね?」と確認しておかなければなりません。

 こう質問・確認することで、修正申告になっても、それはあくまでも行政指導であって、加算税を課されるリスクがないことが明確になるのです。