税務調査の法的知識
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第32回 税務調査終了時の手続き(2)
(15/03/19)

 「税務調査終了時の手続き(1)」にあるとおり、税務調査が終了する際の手続きが明文化されましたが、税務調査で誤りが発見された場合、2つの法律規定が存在します。

国税通則法第74条の11(調査の終了の際の手続)
 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。
 前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。

 誤りがあった場合、あくまでも原則は更正であり、修正申告は納税者の任意とされています(「できる」規定であることに注意)。

 また、ここで注意が必要なのは、税務調査終了の際に調査官から「その調査結果の内容」等を、誰が受けるかです。

 実地の調査により質問検査等を行つた納税義務者について第74条の9第3項第2号に規定する税務代理人がある場合において、当該納税義務者の同意がある場合には、当該納税義務者への第1項から第3項までに規定する通知等に代えて、当該税務代理人への通知等を行うことができる。

 この条文は、税務調査終了時における説明等を、誰に対してすべきか定めたもので、「納税義務者の同意がある場合には」税理士に調査終了の処理に関して説明できるとされています。

 裏を返せば、同意がなければ代理権限を持っている税理士も、調査終了の際だけは納税者の代わりに説明を受けることができないというわけです。

 現実の税務調査において、全調査官がここまで要求してくるかどうかはともかく、法的規定もしくは内規には、税務代理権限とは別個に意思確認が必要とされているので、注意が必要です。