税務調査の法的知識
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第25回 税務調査は税理士だけで済むのか(1)
(14/12/03)

 税務調査において、納税者を立ち会わせることなく、あえて税理士(事務所)だけで対応している方も多いことでしょう。

 納税者が調査の場にいて、税務上不利な取扱いを受ける発言をすることは、何も悪意があるわけではなく、純粋な税法の不知であることからです。

 そう考えると、税務調査で納税者をあえて立ち会わせないことには一定の効果が考えられるわけですが、調査官側から考えると、直接納税者に会って事情等をヒアリングしたい、という要請があります。

 調査官が「私は納税者に対して税務調査をしているのだから、納税者を連れてきてください。」と言った場合、その要請を受け入れる必要があるのでしょうか。

税理士法第2条(税理士の業務)
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び不服申立てを除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)

 上記条文の「税務代理」は、納税者の代わりに主張・陳述できるのですから、調査を税理士だけで受けることは、法律的にも何ら問題ないのです。

 以上から、税務調査を立ち会う者別に区分すると、

1)納税者+税理士
2)納税者のみ
3)税理士のみ

の3つのパターンがすべて許されているということです。