税務調査の法的知識
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第24回 反面調査の反論根拠
(14/11/19)

 税務調査の一環として実施される反面調査ですが、納税者(被調査対象者)にとっては、実務上の弊害が多くあります。反面調査が行われた結果、取引先の信用を落とし、取引停止にされた。また、取引銀行に反面調査が入り、追加融資がストップした。このようなケースは、実例として多数あるのです。

 ここで知っておくべきは、反面調査が実施された場合、または実施される前に調査官に対して反論する根拠です。

 ここでは、下記の4つを挙げておきます。どれも反面調査を実施するための「必要性」を説いたもので、これらすべての規定は、調査官が守らなければならない(内部)規則なのです。


昭和36年7月14日国税庁長官通達
 「いたずらに調査の便宜のみとらわれ、納税者の事務に必要以上の支障を与えることのないよう配慮し、ことに反面調査の実施に当っては、十分にその理解を得るよう努める」
昭和51年4月1日税務運営方針の一部「調査方法等の改善」
 「税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることに照らし、一般の調査においては、事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最小限にとどめ、反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする。」

平成12年7月個人課税事務提要、平成13年7月法人課税事務提要
 「取引先等の反面調査を実施しなければ適正な課税標準を把握することができないと認められる場合に実施する」

「税務調査手続等に関するFAQ」(職員用、平成24年11月 国税庁法人課税課)
問1−11 無申告行政指導を実施する前に銀行調査を実施することは可能か。
(答)
 銀行調査は、質問検査権の行使を伴う反面調査として行うこととなるが、反面調査については、取引先等の反面調査を実施しなければ納税義務者の適正な課税標準等を把握することができないと認められる場合に限り行うこととしている。また、その実施時期については、納税者本人への調査着手後に行うことが一般的であるが、税務調査は納税者本人に対して一定の負担を求めるものであるところ、そもそも税務当局が保有する情報のみでは、納税者本人に対する質問検査等の要否の見極めが困難な場合もあり、そのような場合には、反面調査先の負担の程度等も勘案した上で反面調査を先に実施し、納税者本人への質問検査等の要否を判断することもある。このような反面調査の位置付けを踏まえ、法人課税部門においては、無申告法人について調査や行政指導の要否を判断するに当たり、稼働状況の確認のために必要な場合に限り、反面調査として銀行調査(銀行取引の照会)を行っても差し支えないこととする。