税務調査の法的知識
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第15回 税務調査かそうでないか(1)
(14/07/01)

 税務調査を考える上で根本的な問題は、そもそも税務署の行為自体が「税務調査に該当するのか」「しないのか」という区分にあります。具体的には、納税者に対して税務署から問い合わせの連絡(電話や郵送物)があった場合などで問題になります。

 税務調査かどうかの区分によって、結果的に

(1)回答義務があるかどうか
(2)加算税が賦課されるかどうか

の大きく2つの対応が変わってくるのです。本コラムでは(1)についてのみ書きます。(2)については別のコラムをお読みください。まず、「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」をご覧ください。

 ここには、このように明記されています(一部抜粋)。

第2章 基本的な事務手続及び留意事項
 1 調査と行政指導の区分の明示
 納税義務者等に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行う。
(注)1  調査とは、国税(法第74条の2から法第74条の6までに掲げる税目に限る。)に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいうことに留意する(「手続通達」(平成24年9月12日付課総5−9ほか9課共同「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達」(法令解釈通達)をいう。以下同じ。)1−1)。
 当該職員が行う行為であって、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しないことに留意する(手続通達1−2)。

 まず、「税務調査」なのか「税務調査ではない=行政指導」なのか区分することが大事ですが、この事務運営指針を読んでわかることは、

・区分については税務署側が明示すべき
 →わからない場合は税務署に聞けばいいですし、また税務署が明示しない場合は事務運営指針違反です。

・明らかな税務調査以外は行政指導
 →「お尋ね」などはすべて行政指導に該当します。

 回答義務の話に戻りますが、

税務調査=受忍義務があるため回答義務がある

行政指導=任意のため回答義務はない

となりますので、注意してください。