税務調査の法的知識
税理士業界にフォーカスした“税務調査の法的知識”
一覧はこちら

第 7回 パソコンを触らせなければならないのか
(14/03/24)

 税務調査において、調査官より「パソコンを触らせてください」と依頼されることがあります。

 パソコン自体に何のデータも保存されていなければ問題ないのでしょうが、実際のところ、見積りや請求書をメールでやり取りしている会社も多いことでしょう。また、顧客・取引先とメールでやり取りしているのが通常でしょうから、「パソコンを触らせてくれ」という調査官の言い分も理解できます。

 一方で、納税者側としては、調査官にパソコンを直接触られると何を見られるかわからない、という思いが生じます。

 税務調査における質問検査権には、調査官がパソコンを直接触ることまで要請されるのでしょうか。

 この点を国税庁のホームページに、下記のQ&Aが公開されています。

税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)

 この中に、下記のQ&Aがあります。

問5  提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。

 帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。また、電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。

 最後の「調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)」については、法的に権限がないからこそ「お願い」「ご協力」と記載しているわけです。

 このように、調査官から「パソコンを触らせてくれ」と要請されても、「必要なものがあればパソコンの画面で見せます」「必要があればプリントアウトして提出します」と答えればいいということなのです。