税務調査の法的知識
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第 1回 憲法から考える税務調査
(14/02/07)

 税務調査とは、正確には法律用語ではなく、法律では「調査」と定められています。そもそも税務調査とは、「何のために」定められているのでしょうか。

 税務調査(=質問検査権)を規定する国税通則法をみる前に、「法律の法律」である憲法から考えてみましょう。

 憲法では、租税に関し2つの規定を明文化しています。

憲法第30条(納税の義務)
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。

 この規定により、憲法はまず「納税の義務」と合わせて「租税法律主義」の原則の双方を包含していると考えられます。

憲法第84条(課税の要件)
 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

 ここで、税務の専門家としては必須の「租税法律主義」が明文化されています。これら憲法の規定を受けて、はじめて国税通則法を理解することができるのです。

国税通則法第16条(申告納税制度)
 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。

 つまり、法律に従った納税の義務があり、申告納税制度を担保するために、つまり申告内容が正しいかどうかを確認するために、(税務)調査が存在するということなのです。