会計事務所経営戦略レポート

社長に好かれる事務所・社長に嫌われる事務所の経営法則

会計事務所業界が大きく動き出す予兆!

 皆様、こんにちは。株式会社船井総合研究所の竹内実門です。

 年に二回、本レポートをお送りさせていただいておりますが、おかげさまで20回目を迎えることができました。誠にありがとうございます。

 毎年この時期には、来年の時流予測と経営戦略というテーマで、情報発信をさせていただいております。少し先の未来が分かれば、事務所経営の現場においても、顧問先に対するサポートにおいても、少しでも皆様にお役に立てるのではないかと考え、この10年間続けてまいりました。

 その間に、日本経済も、我々会計事務所業界も大きく様変わりしてまいりました。特に会計事務所業界においては、低価格顧問の定着や、新設法人マーケットを核とした新興勢力の台頭など、比較的安定していた経営基盤が、揺らぐような事態が恒常化してきております。マーケットを取巻く環境の変化に上手に乗れている事務所と、そうでない事務所の差は、確実に開いてきております。

 そして、どうもその『変化』はこれからの3年、特に来年2015年にはよりインパクトのある出来事が起こりそうに感じています。そのあたりを、昨年末にお伝えした、『2014年の時流予測と会計事務所の経営戦略』から、振返ってみたいと思います。


2014年は『旧体制が壊れて、新しい勢力が台頭し、改革・革新が始まる年・・・・
日本経済は16兆のデフレインパクトにより個人消費は落ち込む・・・
消費増税により、4−6月は冷え込む上に、その後も景気は回復しない・・・
長引く秋の影響で、台風などの自然災害の危険性が高い・・・
組織は内部からの崩壊が始まるため、リスク管理や内部固めが重要である・・・



 2014年を振返ってみると、残念なことにあまりよろしくない出来事が多く発生した一年でありました。大手企業においても個人情報の流出問題や日本を代表する家電メーカーの業績悪化など、『ここは安心だし、安全だ』と思われていた企業の信頼が、大きく失墜する出来事も発生いたしました。

 会計事務所業界においても、クラウドサービスを活用した、まったく新しい概念での会計ソフトが大きくクローズアップされてきました。また、コンサルティングの現場においては、『ここなら安心だ』と思われていた事務所の決算処理によって、資金繰り悪化による倒産の危機を迎えている中小企業から、会計事務所の変更が起こっているような事例にも数多く出会っております。

 そして何より、歴史もあり、今もなお地域の名士として確固たる地位を確立していると考えられている『老舗の地域一番店』の衰退の芽が出てきていることも事実として確認しております。

 会計事務所業界は二極化が進む! といわれて久しいですが、各地域の状況を客観的に見ますと、二極化ではなく、一強百弱の時代に入ったといっても過言ではありません。その状況を説明すると以下のようになります。

多くの事務所が年間数件の顧問契約の解除が発生しており、それが数年続いている。
ただ、年間数件なので、顧問契約の解除数よりも新規客数が上回り、あまり危機感を感じていない。
しかし、顧問料の単価は少しづつ下がってきており、事務所全体の業績は停滞気味である。
離脱した顧問先は、地域で最も商品力・情報発信力・税務品質の高い事務所に集中する。
結果として、真の地域一番店はどんどんお客様が増え、業績も上がるが、それ以外の事務所は気づくとジリ貧の経営になっている。
さらに、事務所の後継者問題も含め、従業員も離れていき、事業がどんどん縮小していく・・・。

 このような状況が各地で起こっているのです。

 もう少し掘り下げて見ていきましょう。お客様が少しづつ離れていく事務所と、ほうっておいても集まってくる事務所の違いは何でしょうか?


★お客様が離れていく事務所の特徴

巡回監査が目的化しており、経営者の悩みや経営上の課題を聞き出せていない。
資金繰りや金融機関交渉は、会計事務所の業務でないといって、経営者に任せっぱなしにする。
会計処理は自社で行うべきと主張し、人的資源の少ない企業に対しても自計化を押し付ける。
地域に貢献するというお題目の元、地域の役員や委員会活動に時間を取られ、自社の経営に使う時間が著しく少なくなっている。
所長が全てに目を光らせないと事務所が回らないと考え、現場に権限を委譲せず、結果として幹部が育っておらず、後継者も決まっていない。
従業員の退職や業務量の増加に伴って場当たり的に補充採用を行うため、現場がどんどん疲弊していくにもかかわらず、いつまでたっても計画採用に着手しようとしない。
所長と現場に温度差があり、お客様が増えると現場は仕事に対するモチベーションがどんどん下がるにもかかわらず、トップはそれに気づいていないか、改善しようとしていない。
お客様が、自分の事務所に求めていることは何か?! を正確に把握していない。
お客様のビジネスモデル、社風、強みや課題はもちろん、経営者の保険加入状況や後継者など、多くのことを把握できていない。
事務所のミッション・ビジョン・バリューが明確になっていない。10年後の事務所の姿をイメージできておらず、当然のごとく従業員やお客様と共有できていない。

 いかがでしょうか? おそらく、このレポートをお読みの皆様には当てはまらないことが多いとは思いますが、簡潔にまとめるとお客様が離れている事務所は、『自分の事務所の経営基盤が不安定である』ということに尽きるのです。つまり、皆様の事務所が正しく安定的な経営を行っていなければ、お客様にもその不安要素が自然と伝わってしまうということなのです。


興味をもたれた方は 0120−950−270


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