コンサルティング情報

第12回 自計化のアウトソーシング

 「日本の中小企業を元気にするためには、会計事務所・税理士事務所が元気にならなければならない」という信念のもと、日々のコンサルティングを行なっている、竹内実門が担当させていただきます。

 今回は前回に引き続き「自計化」についてお話しいたします。ただ、今回は「自計化のアウトソーシング」という切口でアプローチしていきます。

 前回「自計化」を行なう条件として、以下の三つを挙げました。

 (1) 経理担当社員の作業量が増えない(今までより作業時間が減る)
 (2) 会計事務所の担当職員もしくは先生がより高度な提案を行なう(資金繰り提案など)
 (3) トップおよび現場の経理担当社員お互いが、納得して進められる

 しかし、現実的な問題としてこの三つの条件が揃った「自計化」を提案してくれる会計事務所は非常に少ないといわざるを得ません。その理由として、「企業のための自計化」ではなく、「会計事務所の業務軽減のための自計化」になっていることは前回お話したとおりです。

 では、本来の目的である「経理業務の効率化のための自計化」を行なうためには、どうすれば良いでしょうか?もう一度企業にとっての自計化のメリットを確認してみましょう。前回お話ししたのは以下の三点でした。

 (1) 経営状況がジャストインタイムで把握できる(今、儲かっているのか否か)
 (2) 毎日経理処理を行なうことによって、処理のミスが少なくなる
 (3) 会計事務所に記帳代行をお願いしない分、より付加価値の高いサービスを受けることが可能

さらに加えるならば、
 (4)経理業務に関わるコストダウンが可能

 この四番目については、少し解説を加えないといけません。多くの会計事務所では自計化を提案する際に「入力は御社で行なってください」と言います。当たり前のことのようですが、「入力作業を行なう」=「自社の業務量が増える」≒「人件費が上がる」=「コスト増加」ということになります。人件費が上がっても、前述のメリットのうち、(1)経営状況の把握 (2)処理のミスがなくなる の2点を享受したいのであれば、迷わず会計事務所の言うとおりに自計化の導入を行なうべきです。しかし、コストを上げてまで、この二つのメリットを得る必要がなければ、企業にとっての自計化のメリットはあるとは言えません。

 実は多くの中小企業は、このあたりの問題を多く抱えているのです。つまり、
 (1) 経営状況を速やかに把握するために、ジャストインタイムとはいかないまでも、せめて前月の結果は翌月の中旬くらいまでには知りたい。
 (2) 利益を生まない経理部門にこれ以上コストをかけたくない。
 (3) そもそもそんなに人材もいないし、専門的な知識をつけている余裕がない。

 このように考えている中小企業のトップが多いのです。会計事務所がここの課題を理解せずに「自計化」の提案をしても、うまくいかないのは当然です。

 では、先程の(4)番目のメリット「コストダウンが可能」とは、どういうことでしょうか。答は「アウトソーシングによる自計化」を行なうことによって、翌月の中旬には経営状況の把握ができ、新たな人材の登用も必要とせず、コストも下げる、ことが可能になるのです。もう少し具体的に見ていきましょう。

 今、会計事務所に払う顧問料が月額3万円だとします。1ヶ月の金銭が発生する取引が200回(会計処理上では200仕訳と言います)の場合、1仕訳あたり150円かかっていることになります(ただし、会計事務所のサービスが試算表を出してくれるだけの場合です。たいがいこういうところは、試算表は2ヵ月後に届きます)。それを、アウトソーシングするとどうなるでしょう?

 1ヶ月200仕訳であれば、9,800円で試算表を出してくれます。さらに、試算表作成に必要な資料を翌月の5日までに届ければ、15日には試算表が手元に届きます。簡単に言えば1/3のコストダウンが可能ということになります。試算表のスピードも速く、コストも安い、このような方法もあるのです。

 もし、皆様の会社の会計事務所が、試算表を出すだけの仕事しかしていなかったら、アウトソーシングすれば、「このくらい安くできるらしいよ」と伝えてみてください。なんらかの反応があるはずです。試算表を作るだけなら、このくらいの価格が適正なのです。高い顧問料を払う以上、会計事務所はより高度な提案をしなくてはなりません。それが出来ない会計事務所は今後衰退していくでしょう。

 もし、皆様が経理業務を効率化したい、コストを下げたい、という課題をお持ちでしたら、お気軽に、船井総研CS&Tグループ 会計事務所コンサルティングチームまでご連絡ください。