コンサルティング情報

第2回 会計事務所・税理士事務所選びのコツ(1)

 今回は私、竹内実門が担当させていただきます。

 私は「日本の中小企業を元気にするためには、会計事務所・税理士事務所が元気にならなければならない」という信念のもと、税理士事務所・会計事務所と言われる「士業ビジネス」を中心にコンサルティング活動を行なっています。

 今回は、企業にとって一番身近なコンサルタントである会計事務所・税理士事務所選びについてお話したいと思います。

最初に簡単なチェックリストを紹介します。

 (1) 毎月顧問料を払っているが、担当の職員が毎月来ない
 (2) 月次試算表が出てくるのに2ヶ月以上かかる(例えば9月末の数字が11月に出てくる)
 (3) 月次試算表の説明がない
 (4) 質問に対して一週間以上返答がない
 (5) 領収書の整理方法や伝票の書き方など、経理業務に対する改善提案がない
 (6) 納税額の予測など、決算月の前に事前説明を行なわない
 (7) 担当者が1年で替わる
 (8) 難しい用語ばかり使って説明する
 (9) 報酬の根拠を聞いたら、怒られた
 (10) 顧問契約に関する契約書を交わしていない

 いかがでしょうか?

 この中で半分以上当てはまることがあったら、皆様の会社の会計事務所とのお付き合いを一度考え直したほうがいいかもしれません。

 もうひとつ、簡単なチェックリストを紹介します。先ほどと同様に、皆様の会社の顧問税理士・会計事務所と照らし合わせて考えてみてください。

 (1) 先月末の試算表は当月の中旬までに出してくれる
 (2) 所長が毎月顔を出す(もしくは電話をくれる)
 (3) 試算表の説明を分かりやすい言葉で行なってくれる
 (4) 担当の職員が自分の会社のビジネスに興味を持ち、色々質問してくる
 (5) お客様を紹介してくれる
 (6) 資金繰り対策を立案してくれる
 (7) 経理業務の効率化提案をしてくれる
 (8) 毎月自社の業界の情報を持ってくる
 (9) 決算対策をしっかり立ててくれる
 (10) 質問に対して素早く回答してくれる

 ○が7つ以上あったら、大変すばらしい会計事務所です。是非末永くお付き合いしてください。

 今まで会計事務所は規制に守られた産業でした。それが、平成14年に税理士法が変わり、広告規制や報酬規定が事実上廃止になりました。業界は大競争時代に突入しており、新しいサービスや業種に特化した事務所が出現するなど、大きく変革する時期に来ています。これらの時流を正しく認識し、新しい取り組みやサービスを提供する会計事務所は大きく発展していくでしょう。逆に従来と同じようなサービスしか提供しない事務所は衰退していくと考えられます。船井総研の考え方にもあるように「ついているものと付き合う」ことが成功のための条件です。そのような事務所と付き合うことは皆様にとって大きなプラスになると思います。

 今まで、企業と会計事務所との付き合いは、会計事務所が「主」で企業が「従」的な見えない力関係がありました。それゆえ今でも税理士の方を「先生」と呼び、「先生」に言われたら企業は言うことを聞くしかなかったのです。しかし時代の流れで、会計事務所と企業の関係は、対等なパートナー関係に変化しています。良く考えてみてください。その「先生」にお金を払っているお客様は企業側です。その対価として会計事務所は「より高度な専門知識を持って、企業経営のサポートを行なう」というサービスを提供しているのです。

 この「より高度な専門知識を持って、企業経営のサポートを行なう」というサービスが、支払っている価格相応でなければ、迷わずに顧問契約を変えるべきです。平均月額3万円とも5万円といわれる顧問料は、企業経営において決して安い金額ではありません。さらに、これは半永久的に継続的に払うお金なのです。会計事務所は皆様の企業の「お金」という経営の肝の部分を握っており、第三者の立場で皆様の経営を正しく導くことが最大の役割です。そのような重要な役割を持っている会計事務所選びは経営においても重要な経営判断のひとつです。この機会に一度、会計事務所との関係を見直していただくことをお勧めします。