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ビットコイン等の仮想通貨、会計上の取扱いを明確化へ
(16/12/14)

 財務会計基準機構(FASF)の基準諮問会議は「仮想通貨に係る会計上の取扱い」を新規テーマとするか企業会計基準委員会の実務対応専門委員会に検討を依頼した。改正資金決済法では、仮想通貨交換業者に対して財務諸表監査を義務付けたが、仮想通貨の会計処理に関する取扱いが明らかでないからだ。この点、金融庁も重要な課題であるとの認識を示しており、会計上の取扱いを明確化する方向で検討が行われる。

 

 平成28年6月3日に公布された改正資金決済法では、「仮想通貨」を定義した上で、「仮想通貨交換業者」に対して、登録制を導入し、財務諸表監査及び分別管理監査を義務付けた。改正法は1年以内に施行されることとされているが、仮想通貨の会計処理に関する取扱いは明確化されていない。監査人からは、事業者間の比較可能性が確保された財務諸表の作成が困難であること、及び当該財務諸表を対象とする監査を受嘱するにあたって懸念の声が聞かれていることを踏まえたものである。

 会計処理の取扱いを定める上では、どの会計基準を適用するかが論点となる。現行の会計基準に当てはめた場合には、仮想通貨は需要と供給で価値が変動しており、金や一次産品等の「コモディティ」に概念的には類似するため、棚卸資産の評価に関する会計基準における棚卸資産の範囲に含まれるという意見がある。その一方では、仮想通貨は決済手段として設計されている点が特徴的であり、必ずしも棚卸資産のように投資成果を獲得することを意図しているわけではないため、「外貨建ての現金」に準じた会計処理が適合するのではないかという意見もあり、今後議論されることになる。

 また、顧客からの預かり資産(仮想通貨)に関する会計処理や期末評価及び監査方法、財務諸表上の表示及び開示などの論点が挙げられている。


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